第14話 アンタッチャブル
実験室の片隅に冴えない見た目の死んだ目をしたおっさんが座っている。どういうわけか誰も近づかないし話しかけもしない。それは管理職も同じ。ずうっと彼を放置している。
不思議に思ったので先輩に聞いてみた。
「あの人はな・・」
その人が任された仕事は3.5インチフロッピー読取り装置の設計だった。
図面を引き、基板を作り、筐体を設計する。一人でこれらすべてができるのは技術者として相当な腕があることになる。
そして長い苦闘の末についにその製品は出来上がった。
管理職が揃ったお披露目会の席でその製品は並べられた。
「うん。これは良く分かった」管理職が言った。「ところでこれは5インチのフロッピーディスク装置だね。君に頼んだ3.5インチフロッピーディスク装置はいったいどこだね?」
「いったいどうやったらそんなミスができるのか俺には分からん。だがそれ以来、あの人には誰も近づくなと命令が出てな」
先輩は締めくくった。
「お前も絶対に近づくな。近づくとお前も同じ目にあう」
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