第3話 【Switch】カスタム

「いくつか質問いいすか?」

「嗚呼。かまわないよ。」

「アザッス!!その...骸が【Switch】した時の姿って...アレなんすか?」

「あ、説明してなかったね。すまない。」

「...アレは魁魔化だ。」

「...へ?」


「正確には魁魔の力を借りているってところかな?

普通に戦闘服を着るだけの【Switch】なら戦闘服を着たただの人だ。

でも【MODE】を選ぶことで各個人に最適な魁魔の能力を使えるようになる。容姿が変わるのはそれのオマケのような感じかな?

容姿が変わり、能力が使えるようになる【Switch/MODE】を僕らは【魁魔化】と呼んでいる。【MODE】は基本的には配属された部隊になる。煉くんだと【MODE“Ⅰ”ファースト】になるよ。」

「へぇ...じゃあ骸のあの姿は魁魔化ってやつなんすね。」

「...今回は魁魔がデカかったし緊急事態だったからな。普通は1度【Switch】してから【MODE】を使用するんだが...そのままいった。」

「じゃあ骸も普段は戦闘服だけなの?」

「当たり前だろうが。あんな姿維持すんのも難しいんだよ。」

「そうなのか...。あ、あと1つあるんすけど。」

「ん?何かな?」

「...俺の父さんってここの関係者ですか?」




「...どうしてそう思ったんだい?」

「...勘ッスね。でも俺の戦闘服に似た服を着ていつも帰ってきてた。それにここの景色?というか何か懐かしさを感じるんす。」

「...大正解だね。君のお父さん...式神燐叶しきがみりんとさんはここの所属だった。君と同じ“Ⅰ”ファースト所属の優秀な人材だった。」

「...アノ人が煉の親父だったのか。」

「!...骸は父さんのこと知ってんのか?」

「骸が隊長になる前の前隊長が燐叶さんだったんだよ。骸もお世話になってる。勿論僕も。燐叶さんはうちの古株だったから。」

「...父さんって...最期は何と戦ってたんすか。」

「...魁魔の中でも上位種を凌駕する力を持つ魁魔【紅蓮グレン

奴は異界からの逃亡者だった。奴を討伐する任務を僕たち死神は受けていた。...僕たち死神の基本は「2人でワンチーム」

燐叶さんと僕はペアだったんだ。」

「朧さんが父さんのペア...?!」

「…意外?」

「いや!朧さんって誰かとペアを組むって想像がつかないって言うか...」

「フフ^^よく言われるよ。事実燐叶さん以外とは組んだことがないからね。」

「...父さんは。どんな人でしたか?」

「...とても仲間想いで優しい理想の先輩だったよ。任務成功件数も死神TOPクラスだった。」

「...そうなんすか。父さんは輝いてたんすね。この仕事で。」

「嗚呼。...誰もが憧れる伝説の人だ。」

「...父さん...。」


「朧サン。」

「ん?」

「そろそろ煉の能力把握と【Switch】のカスタムしましょ。いつ任務がくるか分からない。...イレギュラーもイレギュラーだ。」

「...そうだね。咲渚。」

「はぁ~い!なんですか?朧先輩!」

「今すぐ“Ⅲ”サードから煉くんの担当につける子を探してくれる?カスタムを頼みたい。」

「あ、分かりました!え〜っと...朧先輩...すみません。今すぐに担当出来る子がいないので...私が担当しても?」

「いいのかい?君は既に【𝐙𝐄𝐑𝐎】の担当で手一杯なはずでは?」

「今は大丈夫です!朧先輩以外の皆さんの壊す頻度が最近少なくなってきたので!」

「...スンマセン。」

「アハハ(˶' ᵕ ' ˶)」

「...じゃあお願いしようか。煉くん。君の要望を咲渚に出来るだけ詳しく伝えるように。君の戦闘服のカスタムだからね。」

「ハイっす!!」

「じゃあ煉くんこっちへどうぞ~!!」

「失礼します!!」






「...さて。骸。キミが聞きたい事は何かな?」

「...今日の大型。アレは上位種以上だろ。...何が起こってる。」

「...【亡霊ファントム】が活動を始めた。」

「...なっ!?アイツらは俺たちが封印したはずじゃ...!?」

「...その通りだ。アレは普通の封印方法ではないから解けない筈だ。...だがその封印が解けたということは...」

「...裏切り者か敵がいるってことか。」

「...嗚呼。敵なら容赦はしないが...仲間に裏切り者がいるとは信じたくない。」

「そんな生温いこと言ってられネェだろ。」

「分かっているさ。...いざとなったら切り捨てる。...そこで骸に頼みたい。」

「...なんだ。」

「裏切り者を探してくれ。」

「...目星はついてんのか。」

「...嗚呼。...恐らくだが【𝐙𝐄𝐑𝐎】の誰かだ。」

「ハァ?!...なんでそう思った。」

「...実は咲渚に防犯カメラの映像を調べてもらったんだ。...そこに何名かの隊員と隊長が身に纏うことが決められているローブを身に纏っている隊員が深夜に抜け出していることがわかった。」

「...咲渚サンはシロってなんで分かんだ。」

「...咲渚もそうだが死神の全隊員に嘘をついたら僕に通知がくる装置を身につけさせているからね。」

「ンなもんどこに...!?」

「コーコ。」

「!...ピアスかよ。」

「フフ^^死神の連絡手段としてピアス型の通信機の所持義務を課しているからね。それについている。だから嘘を言えばすぐに分かる。」

「...あっそ。...まぁいい。とりあえず俺が探りゃあいんだろ?」

「嗚呼。...キミは僕が唯一信用している子だ。よろしく頼む。」

「...頭上げろ。朧サン。...アンタにンな事される筋合いネェよ。」

「...分かった。...何かあれば報告を。」

「...了解。」






「さてと。まず煉くんの身体能力を聞こうか。」

「身体能力スか?」

「うん。それによって武器とか戦闘スタイルが違ってくるからね。」

「なるほど...俺はまぁそこそこっすね。.....体力勝負とか戦闘センスなら骸には負けるけど、純粋な体術勝負だったら俺が勝ちますよ。」

「...へぇ。...すごいね!じゃあ近接かな~。武器とかって希望ある?同じ近接の骸くんはナイフ型と拳銃型の2タイプだけど...」

「あ、その事なんすけど...父さんの武器ってなんでしたか?」

「燐叶さん?え〜っと...燐叶さんは珍しい式神使いだったね。」

「式神使い?」

「魁魔のレプリカなんだけど、自分が思い描いた魁魔を使役して戦わせるの。燐叶さんはそれの唯一の使い手だったかなぁ。...後は近接戦闘用のナイフ型と中遠距離の伸縮型拳銃を所持してたね。」

「...それ俺も同じってできますか?」

「出来るけど...いいの?」

「ハイ。...父さんの想いを受け継ぎたくて。」

「そっか。...わかった!!お姉さんに任しなさい!!」

「!ありがとうございます!!」

「じゃあ後は戦闘服のデザインとか戦闘服に仕込む小型武器とかも考えよっか!」

「ウッス!!」


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