ヨーロッパ文明の起源/池上英洋
政治史ではない文化史というのか。
自分が今一番興味を持っているのはこのあたりなのだと実感した。もっと深めていきたい。
古代史は神話と混ざっているからおもしろい。
神話とされていたあの話は実在していた、というロマンが大好きだ。
この著者の西洋美術史の本を以前読んでいて、それが読みやすく分かりやすかったのでこれも手に取った。期待通りでした。
特に興味深かった箇所。
ノアの箱舟の記述。
旧約聖書にある「ノアの箱舟」には先行する文献がある。
シュメール文明、ギルガメシュ叙事詩やギリシャ神話などとの共通点、それらの移り変わりをまとめている。数や日数の記載がいくつか重複していることなどから、二つの神話が合わさったのではなどという推測も。
おそらく始まりは史実であった洪水や川の氾濫が、口承され神話となっていったのが見えてくる。
旧約聖書が新参に見えてくる古代文明と砂漠の宗教たち……
神話の説明機能。
この考え方になるほどなと思った。
人は死んだらどうなるのか、世界はどのようにしてできたのか、なぜ人間と動物は違うのか。人間が生まれて以来持っていた普遍的な疑問に答えるのが神話だった。科学の存在しない時代、考えの根拠、後ろ盾として宗教というものが機能していた。ということに、現代人である我々は想像力がいささかなさすぎるかもしれない。
原罪という概念なども、何か無知な庶民を怖がらせるためにあるようなイメージだったけれど、苦しみや死の説明機能として生まれていたのだ。
古代の権力者が自称した「現人神」。
神をただ一人だけにしてしまうと、権力者自身は人間ということになってしまう。そのため古代では多神教が主流だった。(だから日本はずっと天皇も神だったのだろうか。)
キリスト教が普及したことは、時代の大きな転換だったらしい。
古代文明は謎が多いほどそそられてしまう。
人々を惹きつけ、一つの時代を動かした存在として、宗教の歴史をもっと知りたい。最近そそられているのはゾロアスター教。
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