西の魔女が死んだ/梨木香歩
魔女が死んだところから始まる。
つまりメインの話は亡くなった人の思い出であり、失われた過去のものという意識で読むことになるのに、そのおばあちゃんとの家と庭での暮らしは、あまりに生き生きとしていて、すごい対比。
いつかは死んじゃうんだよね、と大好きなものをさみしくなりながら見つめる、子供の頃の感情を思い出す。
昔読んだはずがほとんど覚えていなくて再読。
子供時代、大人になって、親目線で、孫ができて、それぞれで噛みしめられる話。
綺麗な風景がたくさん出てくるが、良い人ばかりが出てくるおとぎ話ではなく、良い人と悪者がわかりやすいおとぎ話でもない。「悪い人」ではなく「嫌な人」なのは結構大事だと思う。あくまで主人公まいから見た嫌な人だ。
まいがおばあちゃんと仲直りできないまま、というのも、その年頃だからこそのものに感じる。
言われたことをそのまま素直に受け入れられない程度には自分の考えを持つが、まだ、自分と相手の違いをはっきり区別して受け入れられるほどではない。
以前読んだときには、おばあちゃんと自然に包まれた心地よい家、という印象だけが漠然と残っていた。
家や暮らし方を自分で選び変えていけるようになった今読むと、全く感じ方が違う。
「自分で決めること」
「望まない感情に振り回されない」
というあたりが刺さりまくる。
それができない、そんな発想もないような大人というのがたくさんいるのだということを、自分が大人になった今とても感じる。
そういう発想がない人だと
「こんな素敵な家で素敵な暮らしができたら、そりゃいいよねえ。うちじゃ無理だもの」
で終わってしまうのだろう。
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