薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木/江國香織
長かった……徹底してつまらないのだけど、つまらない小説ではなく、つまらない女の人生の小説なのだと思った。結局文章が美しくて読めてしまう。
くだらねえ、と3万回思ったし、本当に女も男もろくなもんじゃねえな、と5万回思う。思うのだけど、これはくだらない小説ではなく、もともと他人の恋愛事情なんてくだらないと思う小説であり、女/男がろくでもないのではなく、女/男のろくでもなさが書かれた小説なのだ。たぶん……
客体として生きる女性の、そのことへの無自覚さとそれゆえの無垢さみたいなものって怖い。
読みながら恋の始まりのときめきを思い出したり、こんなふうに人を好きになりたい、やっぱり恋はパワーをくれる、女であることって素晴らしい! と思う人もきっといると思う。え、むしろそれが真っ当な感想なのか?
実際に友人の恋愛話を聞くのは楽しいのに、この人たちの話はなぜずっと「はあそうですか」以上に思えないんだろうかと考えると、この人たちは友人じゃないからなのか。
しかし1本の小説で女性の恋愛事情を9人分も思いつけるのがすごい。
だめだ、何を書いても小説へのリスペクトがないようになってしまう。小説に限らず映画、漫画、絵画など創作物全般で共感できない作品をちゃんと鑑賞できるようになりたい。わかる、いいと思った、以外の褒めのボキャブラリーを増やしたい。共感以外で鑑賞できるようになりたい。
もちろんまるで自分の気持ちを代弁してくれたのかというような作品に救われることは大いにあるのだけど、それだけを求めてそれ以外を見落としたくない。
あと江國香織さんの長編はタイトルがなぜそれだったのかわからないことが多い。
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