第2話 声
「…じゃあ、川中さんに会いたいだけの異常者?本当にそれだけなら、日時を指定して待ち伏せすれば簡単なんじゃ?」
「ええ。そう思って、囮捜査みたいに、我々だけで、証拠をつかもうとしてみたりもしました。ですが、周到なやつで、絶対にしっぽをつかませないんです。金で解決しようともしたけど、「会わせろ」の一点張り。何かわからない動機というか目的があるのかな?」
また瞳は考え込んだ。ここで、シャーロック・ホームズやポアロのように、ASAPな解決に繋がる明快で鋭敏な推理をできなくては、主人公はつとまらないのだ。
一種の正念場だった。
「手がかりはつまり電話の「声」だけなんですね。ですが、声には個性があって、随分たくさんのインフォメーションが隠れています。声だけでIDの同定を…トートロジーね?…するという科学的な捜査の方法も種々あります。犯人の声に聞き覚えとかは無いのかな?」
「そうですね…かなり特徴のある声ではあります。もし知人ならすぐに気がつくかもしれない。」
掌編小説・『new story』~私立探偵・猫田瞳・捜査日誌の4~ 夢美瑠瑠 @joeyasushi
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★15 エッセイ・ノンフィクション 連載中 4話
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