第19話 キューピッド

部活終わり、僕は大竹に一緒に帰ろうと誘った。大竹も快諾してくれた。

 学校を少し出たところで、コンビニに寄り、トイレに行くからと外で待機させた。

 僕が居なくなったのを見計らって小島さんが大竹に声を掛けた。

 「悠馬、偶然だね!」

 「おう、久しぶり。」

 「誰か待ってるの?」

 「三井がトイレに行ったから待ってるよ。」

 「そうなんだ。ちょっと渡したいものがあって。」

 そう言うと、小島さんはラッピングされたプレゼントを取り出した。

 「お誕生日だから。受け取って。」

 「あぁ、ありがとう。でも急にどうした?中学なってからはくれて無かったじゃん。」

 「ん?えーっと…は、恥ずかしかったし。」

 「あ、あぁそっか。でも嬉しいよ。ありがとう。」

 「あ、あのさ、私、悠馬のことが好き。恋人になりたい。」

 「へっ?」

 大竹は信じられないといった表情で固まっていた。

 「昔から好きだったの。照れ臭いから悟られないようにしてたけど。」

 「そっか。俺で良かったら、宜しくお願いします。」

 大竹は小島さんの手を握った。そして、嬉し泣きする小島さんをそっと抱き寄せた。

 その一部始終をコンビニの雑誌コーナーからこっそり覗いていた僕は、抱き合う二人の姿を確認して合流した。

 「どしたん?」

 僕は白々しい大根演技で二人に話しかけた。

 「うん。三井がいない間に彼女出来た。」

 「やることやってんじゃん。」

 僕は大竹の腕を肘で小突いた。小島さんと目が合い、互いにサムズアップした。

 「どういうこと?」

 「そういうこと。」

 「まさか三井知ってた?」

 「知ってると言うか、アシストはした。」

 「うわー、ハメられたんか。嬉しいやつだけど。」

 僕達はその後もワイワイ言いながら、帰路に着いた。

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