第7話 挫折

翌日の二回戦。どこかモヤモヤした気持ちを持った僕の気持ちと比例するようにチームは細かなミスを連発して負けてしまった。

 周囲が涙に暮れる中、僕はスタンドに居たからかは分からないが極めて冷静だった。

 ロッカーの雰囲気に馴染めなかったのでしれっと片付けのためにロッカーから離れた。道具の整理が終わる頃には新チームで試合に出るためのビジョンを練るほどには切替が出来ていた。

翌日からは既に新チームが始動。僕は同級生の石塚と二年の高田さんとのレギュラー争いとなった。二人ともどちらかと言えば長打力が武器の選手であり、同じ土俵で戦うと太刀打ち出来ない。ならばとケースバッティングと守備を磨くことにした。打撃練習でも状況に応じてどこに飛ばすか意識し、一塁守備に重要な柔軟性も毎日のストレッチで培っていった。おかげで秋大会直前にはエラーをしなくなったし、実戦形式の打撃では狙ったバッティングが出来るようになっていた。

 メンバー発表当日。僕は積み重ねた練習に手応えがあったので、自信を持って監督の発表を聞いていた。

 「背番号一、渡邊。背番号二、南場。」

 おっ南場がレギュラー入り。次呼ばれるかな。

 「背番号三、石塚。背番号四、…」

 ん?石塚が呼ばれた。レギュラーは譲ることになったか。ということは高田さんとのベンチ入り争い。俄かに不安が高まってきた。

 「背番号十二、加賀美。背番号十三、高田。…」

 ふと我に返ると、僕は既に着替えを済ませて自転車を漕いでいた。ショックでメンバー発表からの記憶が飛んだようだ。隣に南場はいない。でも今日はいない方が都合が良い。

 とにかく何も考えたくなかったので、尚もペダルを強く踏み込んだ。

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