番外編②

▫︎◇▫︎


「こんなのっ、こんなの聞いてないっ!!………うぅー、胃がぁ………………、」


 10日後の執務室には、私の悲痛な声が響いていた。

 なぜなら、執務室のソファーが2人掛けに変更され、全ての職務をノエルの側ですることになってしまったからだ。


「頑張ってね、俺の可愛い可愛い奥さん。大丈夫、来客は1日に3人程度だから」


 ちゅっと額に優しいキスを落とされても、私は絶対に騙されない。

 そして、胃が限界レベルに痛い。


「おえぇぇ………、」


 だから、私が吐いてしまったのは必然の流れであり、けれど、この日以降のお仕事が常に、いつ何時もノエルのそばで行えるようになったために寂しくなくなったのは、もっと必然の流れなのであった———。


「王妃なんかやめてやるうううぅぅぅ!!」


 そして、私の叫びが王宮中に響き渡ったのも、もっともっと必然の流れなのであった———。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る