第11話
「貴様!僕の婚約者にキスをするとは殿様だ!!平民の分際で僕を苔にしやがって!!」
「………苔………………、」
ぼそっと呟いた私は、彼に再び姫抱きにされ頬や額に甘々とろとろのキスを受けながら、彼の執事服をぎゅうぅっと握り込んだ。
「俺、殿様らしいぞ?」
「ふふっ、」
思わず笑ってしまった私は、彼の胸元に自らの額をすり寄せる。
「ノエル、めっ、でしょう?私はあのお方を王さまにしなくちゃいけないの。だから上手に諭さなくちゃ」
「………………」
私は淑女の微笑みを浮かべると、ビジュがどうこうぶつぶつと騒いでいるヒドイン=チェルシーを横目に、アルゴノートさまに声をかける。
「アルゴノートさま、まず初めに私はあなたとは婚約を結んでおりません。私は生まれつき身体が弱いために、王家には嫁げないと判断されました」
ピコンと親指を立ててグッドの指を作った私は、穏やかな声音になるように気を使い、それこそ胃がキリキリとするぐらいに気を使って話す。
「そして2つ目に、私はチェルシーさまをいじめておりませんし、いじめる理由がありません。私はあなたに懸想など全くしておりませんから」
人差し指を立ててLの字を作った私は、最後に中指を立てた。
「最後に、私は何としてでも王妃にはなりたくありません。人に注目されることが嫌いだからです。だから、今すぐにでも帰っていいですか?帰っていいですよね!?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます