第5話
自分の見た目が悪役令嬢たる、白銀のギッチギチの縦ロールかつ釣り上がった灰色の瞳であることを完璧に無視しながら、私は過ごした。
けれど、貴族の令嬢たるもの、三大公爵家唯一の姫君たるもの、全くお外に出ないということは不可能で、私は14歳から16歳までの期間王立学園に通うことになった。
と言っても、私は1度も授業に出たことがない。
何故なら、私自身お勉強が嫌いではなく、なおかつ物覚えも悪くなかったからだ。
私は入学試験で卒業までに必要な成績を全て取り、卒論も提出し、一応名前だけ在籍で学生寮の部屋の中に篭りっきりになっていた。
私の従者であるノエル・ルーティも私に付き合って、お部屋に篭りがちになってしまったのは申し訳なかったが、私の胃の平穏のためにも私が譲ることはできなかった。
けれど、そんな私でも引きこもり続けることなんてできるわけがなく、お外に出なくてはいけない日というものは存在している。
———卒業パーティー。
絶対的強制イベントであるこの行事は、流石の私も仮病を通してもらえなかった。
故に、ノエルが用意してくれたレモンイエローのマーメイドラインの真珠があしらわれたドレスを見に纏い、真珠のカチューシャをつけた白銀の縦ロールに巻いた髪を自らを守る檻のように下ろして、ノエルにエスコートしてもらい卒業パーティーに参加した。
そして———、
「シェリル・ラ・マルゴット!卑しく僕に噛み付く悪女め!!聖女チェルシーを虐める陰湿なお前とは、今この瞬間を以て、貴様との婚約を破棄しゅるっ!!」
冒頭へと戻ってくるのだ。
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