第2話 お団子が好き
まおとなおは放課後の街を歩いていた。
「今日のなおのお団子めっちゃ可愛いいなあ」
「朝寝坊しちゃったからね。もう急いでばってまとめただけだよ、でもまおに褒められたからよかった。たまにはいいでしょ」
「めっちゃ似合ってる。だからちょっといきたいところがあるんだ。付き合って」
「だからの意味がわからないけど、別にいいよ。どこにいくの?」
ふふふと笑いながらまおはなおの手を引っ張って歩いていく。二人は共に響く笑い声と共に、小さなお団子屋さんに辿り着いた。色とりどりのお団子が誘う中、なおは不安げな表情でなおに視線を向けた。
「まさかとは思うけど、お団子食べたいの?思考が単純すぎないか?」
「ねえ、なお、どれにする?」
「スルーするなよ」
「まおはみたらしにする!」
「だからスルーするなっての」
「もういいから早く選んでよ!」
まおはにっこりと微笑みながら、なおを待っている。なおはまおのこの赤ちゃんみたいな笑顔に弱い。全部許してしまう。最近体重がなあ、と気にしながらも、まあしょうがないかと、
「甘いものは別腹だしね」
「辛いものも美味いものも別腹だよ」
「全部じゃん」
と笑い合って、なおはあん団子に決めた。
「太ったらちゃんとウォーキング付き合ってよ!」
「わかってるわかってるってば」
と気の抜けた返事をするまおを睨みながら、二人はお団子を受け取る。
お団子を手にし、近くの公園のベンチに腰をかける。
「なお知ってる?このお団子食べ方があるんだよ?」
「そんなことどこにも書いてなくなかった?」
「いいからいいから、じゃあちょっと目をつぶってみて」
んーと思いながらもなおは目を閉じる。
「これでいいの?」
「口を少し開けて」
「はいはい」
まおはみたらし団子をなおの口に突っ込んだ。
「んぐう、タレが唇についちゃったじゃない。ん!でも美味しい!お団子もしっとりもっちりしてるよ!すっごい美味しいね」
「でしょう?」
まおはニコニコである。なおはやっぱりまおのこの笑顔に弱い。そしてみたらし団子にも弱い。
「まおと一緒にいると飽きないなあ」
「そうでしょうそうでしょう」
「じゃあまおもアーンしなさい」
「しゃあなしだよ」
まおはひとつ団子を口に含んでもぐもぐしながら、
「あんこの団子も最高だね。なおの愛情が入ってるからかな?」
「はいはいそうですそうです。でも愛情がなくても美味しいんじゃないの?」
「そんなことないよ?いやあるか?」
幸せそうに団子を食べた後、なおは立ち上がって、まおに手を差し出した。まおはなおの手を握って立ち上がると、
「今度はなおがエスコートしてくれるの?」
「そうだよ、ほら行こう」
「嬉しいな、どこに行くの?」
「ウォーキングだよ」
「ああー騙された!」
公園に、二人の笑い声が響き渡った。
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