キュンとする女子高生のショートストーリー 100物語
@GPT00
第1話 冬の恋物語
冬の風が寒さを運び、なぎとアルは腕を組んで歩いていた。
「アルは本当にあったかいねえ。もう私の隣から離れちゃダメなんだよ」
「いやいや、なぎ、すっごく歩きづらいんだけど、もうちょっとちゃんと歩いてよ」
というアルの抗議も聞かずに、なぎはもっと身を寄せて腕を抱きしめる。
「ねえ、アル。最近、どんな本読んでるの?」なぎが唐突に質問する。
「私の話聞いてる?もっと離れてっていってるのに」
「もうそんなこと言ったって無駄だってわかってるでしょ。早くおすすめの本を教えなさいよ。全くアルは私の話を素直に聞くことを覚えた方がいいよ」
どっちがだよ、と言いながら、仕方がないなあと、アルは最近読んだ本のことを話し始めた。
「最近は恋愛小説が好きなんだ。人の心の複雑さとか、恋の予測不可能性って面白いから」
なぎは少し驚きながらも、興味深くアルの言葉を聞いていた。アルは普段物静かで、教室で本を読んでいることが多いタイプだったけれど、恋愛小説が好きだとは思わなかった。
「私もそういうの読んでみたいな。おすすめの本ある?」
アルは微笑みながら、
「私も最近読み始めたばかりだからあんまり知らないんだけど、今読んでる本は面白いよ」
とカバンから本を取り出して見せてくれた。可愛いピンクの装丁の本で、タイトルは『冬の恋物語』というものだった。
「これ、面白いよ。恋愛って不思議で、時には切なくって、でも優しさに包まれている感じがするんだ。なんか恋愛もいいものなんだなあって思っちゃったよ」
なぎは興味津々で本を手に取り、パラパラとページをめくっていた。
「そうかー、アルもやっぱり女の子なんだねえ。実は恋愛体質だったりして?」
「そんなことないよ、今は別に好きな人もいないし。」
なぎはピタッと足を止めて、アルの目を覗き込んだ。
「な、なんだよ、どうしたんだよ、急に止まって、危ないじゃない」
そんなアルの言葉が聞こえていないように、なぎはじっとアルの目を見つめ続けている。
「私は?」
ぼそっとなぎが呟く。
「えっ?」
驚くアルの目をなぎは見つめ続けている。
「いや、なぎのことはもちろん好きだけど……」
しどろもどろになりながら慌てているアルの耳元でなぎが囁く。
「私もアルのこと大好きだよ」
なぎはさらに腕を組む力を強めて体を押し付ける。
アルの顔が赤くなったのは、夕日のせいだけじゃないだろう。
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