code name

「ねーねーかもめー暇だからコードネーム決めない?」


「、、、は?」


昼休み、玲は机に伏せ言った。

自由な発想がまた少女らしい。


「今日一日そのコードネームで呼ぶの。どうせならもっといろんな人巻き込んでさ!」


「えっああ、、、うん、、、?」


そうと決まれば止めても止まらない少女だ。

猪突猛進である。


「ん〜、、、じゃあかもめは、コードネーム“どくぜツンデレ”!」


「、、、は??えっ?は?なっなにがどくぜツンデ、、、」


「おーい瑠花ちゃーん!!」


玲は話も聞かずに瑠花のほうへ走っていく。

なんとも自己的だ。



、、、これは、クラスを巻き込むな、、、



一瞬で悟ったかもめは、仕方なく今日一日を

“どくぜツンデレ”で過ごすことにした。



***



キーンコーンカーン、、、


「ねぇ“ゆるふわツインテ”!今日の夜ご飯何にする?あたしはオムライスがいい」


「また?この前も作ったでしょ?“クリアオーシャン”に聞いてみようよ。絶対飽きてるよ」


「…飽きた。無理。“イングリッシュオンリー”、発想が単調」


…訳もわからぬ会話内容になっているが、

“ゆるふわツインテ”とは瑠花のことらしい。

“クリアオーシャン”は透海で“イングリッシュオンリー”は玲だそうだ。ちなみに“イングリッシュオンリー”は瑠花が名付けた。


みんな意外とノリが良いことにも、かもめは驚いている。


玲は独特のネーミングセンスだ。

癖が強いと言うかなんというか、、、まぁ、独特だ。


「あ、“ダイナマイトサイエンティスト”が実験から帰ってきた!!」


「お〜帰ってきたよ。本日も“ミステリアスマーメイド”の生態について知れて嬉しい限りです。次は“パワフル☆ガール”の生態調査でもしようかなあ……えへへ」



奇妙奇天烈な横文字と、不気味な笑みのコンボは恐怖を植え付けるような風格。

“ミステリアスマーメイド”はくじら、“パワフル☆ガール”はつきみ。そして“ダイナマイトサイエンティスト”の名を飾るのが誰あろう、

ヒカリである。


ヒカリは渫奈に向かって声をかける。


「“ロリ×ロリ”こっちおいでよ!」


「ええ…なんかノリについていけるかわかんないよ…」


控えめに断るが、彼女もまたノリが良い。


「あっそうだこの前ね、“ねこみみ計算アイドル”のファンクラブが二年生の教室に押しかけたんだって!大変だね…」


大変だね、と言う瑠花の顔はにこやかに笑っていた。柊雨は“ねこみみ計算アイドル”。


「みんなちょっと静かにして〜今ボス撃破中なんだよね」


彼女の名は“プロゲーマー”。又の名を音猫と言う。ゲームでの指捌きはプロの格であり、このコードネームがついた。


「えっ違うでしょ!!ああー今のは、、、」


音猫の横で戦闘に謎に口出しするのはこと“輪っかピアス”。お洒落なその容姿から

この名がついた。ちなみに“輪っかピアス”は

このゲームをしたことがない。



「、、、??」



かもめはこの異様な光景に目を瞑る。

どんどん収集がつかなくなっていくこの現状に溜め息を吐く。このブームを抑えなければ、このままでは“どくぜツンデレ”が通り名になってしまうのだから!!


玲の行動力は凄まじい。あの犯人主犯格を取り押さえなければ…!


そう考えていたそのとき。



「ほしみやぁぁぁ!!!!」



地獄から噴き出たようなドスの効いた低い声。そう、この声は――



「きゃああああ!!!小瀧先生!?!」



玲が悲鳴をあげる。玲は理科教師、小瀧に

目をつけられている。


「お前補習はどうなった!!」


「ひぇぇえ!!嫌です拒否します!!」


「拒否するな!!お前はいつもいつも…」


小瀧は玲を引きずり、補習室へと連行する。





こうして、cord nameは自然と消滅したのだった、、、。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る