電撃


ぴこぴこッどごごごっじゅどーん。



聞き慣れない電子音が耳に飛び込んでくる。

この効果音が正しいのかはわからないが、少なくとも少女にはそう聞こえた。


「うわぁぁ、、、負けたぁー」


「やったー!!音猫より早く撃破ぁ」

とある日の昼休み。教室の後ろで机を固め、

つきみ達はゲームをしている。



ゲーム、、、!やってみたい、、、!!



地球に来てまだ少しだが、あのゲームは見たことがない。だが、それも少女の好奇心を

くすぐった。


机を勢いよくバンと叩き、立ちあがる。

かなりの音だったのか、ゲーム組(玲が勝手に名付けた)はこちらに視線を向ける。


「つきみ!それなんのゲーム?!」

少女がそう声をかけるとつきみは驚きつ、

快くゲーム画面を見せてくれた。


「かすいばすたーず2!!!」


「スカイバスターズ2な」

間髪入れずに透海がそう言う。


そのゲームが何かは全くわからなかったが、

この中から出てくる音があの電子音の正体

なのだろう。

だが、つきみ達4人は何かの音に反応し、すぐにゲーム画面に戻る。


「かもめ、ボスきたよ!」


「りょーかい!」


まるで本当の魔物が来たかのように真剣な表情をする。強そうなカチカチの装備を身に付けたボス、と言うらしい生物に攻撃を仕掛ける。手慣れた様子でぱちぱちとボタンを操作し、そのボスをすぐに倒してしまった。


「すごいすごい!!かっこいい!」

少女が目を輝かせかもめに向かってそう言うとかもめは赤面して驚き、


「そ、そんなことないし、、、いっいいから!!

玲もやってみなよ!」


と乱雑にゲーム機を少女に押し付け、くるりと少女に背を向けた。


怒っちゃったかな、と少し焦ったが、つきみが「ツンデレなんだよ」とこっそり教えて

くれた。


少女は辿々しくゲーム機のボタンに触れると電子音が鳴り、すぐに手を引っ込めた。


少女の星にはゲーム機がなかった為、全く慣れない電子音に耳が不快感を覚えるばかり。

そればかりかこれが楽しいのか、とあまり理解も得られなかった。


「ほら玲ーボスくるよー」

音猫がゲーム機を見せるようにして言う。



あ、あたしはこの魔物と戦わなくちゃいけないの、、、?!


ただでさえこのゲーム機が怖いと言うのに、

魔物と戦えた言うのか。このゲームをしている人たちは悪の組織と錯覚した。

そもそも、電子機器はトラウマなのだ。

たしか、あれは6歳のとき――



入学祝いに、とお父さんにパソコンを買ってもらった。

使うのが楽しみで、難しい設定を一生懸命頑張った。いざ使うと、五分で壊れてしまった。何かはわからないが、ボタンを押した

途端、煙が上がって画面が真っ暗になった。

怖くて、怖くて投げ捨てると煙がおさまったのだ。この出来事がなかなかのトラウマで、

しばらく電子機器を触らなかった。

その後も少女が使った電子機器はまるで呪われたかのようにことごとく壊れ、使えなくなった。 



、、、そんなことがあって、機械は怖いのだ。


「ほらきたよ玲ちゃん!!ここ押して!」

つきみがそう言い、ゲーム機のボタンを指差す。言われるがまま恐る恐る押してみる。

ばむっという爆発音と共に、ボスが消えた。


慣れてしまえばそれは快感で楽しいと感じた。なるほど、これが楽しいのかと少女はやっと理解した。




「このゲーム面白いね!かす、、スカイバスターズ2!」

少女はすっかりハマってしまった。今ではあの電子音も耳に慣れた。

星に戻ったら作ってもらおう、と思った。



つきみたちは、玲がゲームをはじめて三十分でかなり強いボスを倒したことが信じられないことは、言わなかった。

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