せんそうというえそらごと
シキウタヨシ
記
あやまちを繰り返してふ吾々はヒロシマナガサキ死に絶ふを待つ
繰り返しませぬからとて手放さぬ核の切り札吾ら咎人
戦場に人というものの愚かさとヘルメットとが転がりおりぬ
にほんじんもむかしいくさをしたことの埋もれはじめてウ戦をぞ見る
いくさして得たものなにもなきことを知るや知らずやまた繰り返す
水に浸く土に埋もるる屍いまだ帰りきれずに昔を語れり
孕み腹の祖母は空襲を掻い潜りかくして母は「戦後」に産まる
「負けたらしい」とぼんやり聞きおり玉音を父は満州を脱出しなむ
サイパンに行きたくはなし玉砕の地と聞くそこでいかにくつろぐ
バンザイと叫びぬ母も混じりいて玉砕せる地で吾は笑えぬ
さとうきびざわわの歌を聴くたびに沖縄観は二重にぶれる
所詮吾がセンソウはいつもエソラゴト安全な場所でテレビにおののく
箸をとめ昼飯時のあわいにて一分間だけ何も話さず
/了
せんそうというえそらごと シキウタヨシ @skutys
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