第7話 近代兵器無双類似行為
腹の前に斜めが一番抜き易いので、その位置にホルスターを付けた。
アラブの短剣とか、行司さんの短刀みたいな。
夕香がやたらと触りたがる。引き金に気を流して引かないと発射されないので、暴発はないんだけど、危ないからと言ってやめさせる。
二人きりだと変に甘えてくるので、さっさと長栄に戻った。
当然、叔母ちゃんが触りたがる。
自分で霊核と銀を買えないと駄目だと、ジジが止めてくれる。
他人の特注の武器は触ってはいけない。
翌日、早速枝跳び山羊を狩った。
高い枝の上からこっちを窺っていた頭に六発叩き込んだら、落ちて死んでしまった。
「伊達に金は取らねえな」
「使えるなら誰でもこれだけの攻撃が出来るけど、誰がいくらやっても少し上までにしかならない。只なら物凄く欲しいけど買うのは嫌、なんて物」
「どうすっかな。レイに借りたら、楽しすぎで戦技が身に付かなくなるぜ」
「貸さないから」
「ま、黙らせられりゃいいが」
「それは親の責任」
「だからよ、親父みてえなこと言うな」
夕香に森小牛を撃たせたら、やはりヘッドショットだけで狩れる。
器用が俺より高いので、命中率も高い。
死ななくても、山羊が落とせる。再充填して撃てば、遠距離から逃がさずに獲れた。
二人とも空蹴持ちになったので、ウサギの縄張りにカチコミをかける。
投石器で混乱させて、こっちを向いた親玉の銀角に六連射、後はうろたえるただの角ウサギを惨殺。
何度かやったら刺突が取れて、叔母ちゃんの誕生日までに銀角ウサギの手槍が二本出来た。
叔母ちゃんは授かりの技能で博打を打った。
鋼角ウサギの手槍を装備して十二歳になる。
既に射撃を持っていると見られて射撃が貰えないか、射撃系の上の技能を授かるか。
射撃は貰えなくても、戦士系になれたら手槍を使っていれば生える。
結果は遠射と強撃だった。
「んじゃ、明日から空蹴取りだ」
「そいつは駄目だ。リスから獲ってけ」
ジジに言われて不満たらたらの叔母ちゃんだったが、三ヶ月で空蹴まで取った。
打撃、斬撃、刺突を取ったので強撃が1.5倍、遠射と空蹴があるので、叔母ちゃんは軍に入れば尉官採用になる。
叔母ちゃんに寄って来る男に、十五歳未満限定で、殴り合いで俺に勝ったら付き合っていいと、ジジが無責任な事を言う。
中堅の討伐人のジジババの孫でも、十四歳の職人に負けるわけがないと、舐めて掛かって来るので、叩きのめす。
何も強化装備を付けなくても、基礎能力が段違い。
他所に行って絡まれた場合の、対人戦闘訓練。
両親に空蹴を取らないか打診したら、お袋が孕んでいた。
空蹴持ちになったら尉官になれるのだけど、危ない仕事も増えるので、止めておく。
叔母ちゃんが十三になるまでの約束だったので、ウサギの群れをメインに獲れるものを獲って、鋼角ウサギの手槍がもう一本出来た。
次の子にも持たせたいと言って、ジジが買い取った。
戦い暮らして、日が経てば叔母ちゃんが十三になる。
「どうする、職人養成所に行くのか」
「俺はこのまま強くなるだけで四級の霊核を使った銃を作れそうなんだが、夕香は入れたい」
職人は向上心が植え付けられているようで、食えればいいと考えないようだ。
夕香の生涯の目標は従魔玉の作製。
屈服させた魔物に気を込めた従魔玉を見せて取り込ませると、霊核が強化されて霊気の薄い場所でも暮らせるようになる。
低級の魔物でも高知能化して、言葉は完全に理解する。
しかし、主人が死ぬと死んでしまう。
同種の従魔との間にも子は出来ない。
従魔になるのは生物としては死ぬのと同じなので、拒否されることもある。
従魔は主人の一部とみられるらしく、従魔が触った物を収納出来、従魔の位置に主人の収納の物を出せる。
森に連れて行ければ、人間の行動範囲を超えた探索が可能だ。
従魔玉は魔窟と呼ばれているダンジョンから出るのだが、高能力の宝飾師なら複製出来る。
従魔玉の複製には宝飾師の能力だけでなく、従魔と、自分で取得した四級の霊核が必要になる。
夕香が十五になるまでに時間があるので、もう一丁ライトニングを作りに行った。
霊核は夕香が買った。銀は売るくらい拾った。
降星の神殿に行き、夕香の分なので、二人で奥に入れてもらった。
銃が出来ると、神官長様に討伐に誘われた。
「心話力の技能を出す魔物がおります。若い神官の強化に討伐するのですが、拳銃を貸して頂ければ、確実に倒せます」
五級を獲るなら、そんなのがいる場所に行かなければならない。
心話力がないと、それなりの神官がいないと幻惑を見せられたり錯乱させられる。
拳銃発祥の地だが、実用は貴族に買われてしまって、青燕様が遺した物は使いたくない。
持ちつ持たれつである。
従魔玉を作るにも必要な技能なので、同行させてもらった。
心話力を出す翁児は、小枝を集めて作ったメガネザル、と言った不気味な見た目で、七級なのに中層の縁に棲んで、旨い果物を食べて暮らしている。
子供サイズの年寄りが蹲っているようにも見える。
神官はそれなりの戦闘訓練を受けているが文官で、戦闘技能を持つ者は少ない。
地上の索敵要員で巨大柴犬が
中層の手前で視線を感じたので、木の上に六連射すると、手長足長のゴリラが落ちて来た。
七級ばかり獲って威力は上がっているのだが、射撃だと仕留めきれないかもしれないので、銀角ウサギの手槍で仕留める。
霊核は六級だった。
「陰猩々じゃないですか。どうして判ったのです」
護衛の若い神殿戦士の人に詰め寄られた。
「これは、お話ししないといけないんでしょうか」
「いえ、失礼しました」
あっさり引いてくれたが、その後の対応が腫れ物っぽくなった。
引率の高位神官様しか話し相手になってくれない。
この猿は通常の索敵に掛からない強敵で、生命力探知じゃないと駄目だったそうだ。
ここよりかなり西に生息しているものだったが、死体を調べると、古傷があり、縄張りを追われた逸れだと推測された。
特別な危険はなさそうなので、翁児討伐は続行され、嫌な感じに向かって撃ったら、人間サイズの塊が落ちて来た。
胸を切り裂くと、黄色い球があった。
獲りにくい分出やすいと言われたが、運がいい方だろう。
縄張りはないので、好物の果物を目印に探す。
ちょっと高い処に、赤身の強い橙色の、完熟マンゴーみたいのが成っている。
「あれ、取っちゃだめなんでしょか」
「かまいませんが」
空蹴で近付いて取った。
神殿戦士が強張っている。
「これ持って歩いてると、寄って来ませんか」
「やったことがないです」
夕香に持たせて少し歩いたら、それはオレ様のだぞ、みたいな気配がする。心話力を得たお陰で、妙にはっきりした気配を感じてしまう。
夕香に寄って、小声で話す。
「俺の真後ろ、高さ十五腕。どいたらすぐ撃って」
「うん」
六連射後に再充填、落ちたのが起きると同時に六連射で倒した。
胸を開いたが、只の霊核だった。
「なんでえ」
「や、四分の一くらいだって、言われたでしょ」
「やだあ」
「やだとか言われたって」
イチャイチャすんじゃねえよ、と言う殺気に近いものを感じてしまう。
もう一個美味しそうな完熟マンゴーがあったので、二人で持って歩くと、直ぐに目を付けられた。
「もう一度、真後ろ、高さ十八くらい」
「うん」
ちょっと高かった所為か、当たり所が悪かったのか、落ちただけで死んだ。
黄色い玉も出た。良かった。
マンゴーを取って次の順番の人に渡し、銃も渡す。
「射撃練習を兼ねて、全部撃って下さい。本人の気で倒さないと出ないようです」
「はい」
同じ手順で獲らせtが、玉が出たのは三匹目だった。
俺の担当の神官様と話す。
「結構いるんですね」
「はい、見つけ難いだけで、数はおります。時間的に、後、二人か十匹お願い出来ますか」
「時間があれば三人でも」
「よろしくお願いします」
良く熟れたマンゴーを選って、何人もで見せびらかしながら歩くと、直ぐに視線が来て、十一匹で三人分出た。
帰り掛けに十腕超のヘビも獲れた。六級で名前は十腕蛇。
今装備している高い革鎧の材料だった。
「明日も、お願い出来るのでしょうか」
「はい、そちらがよければお供させて下さい。二人であそこ迄行けはしませんから」
「有難いことで御座います」
こちらの神殿の予定者が取れたら、別の神殿から呼んで続けたいと言われた。
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