第79話 トゥルーエンドは闇の中で
世界の終わりは一瞬だった。
〝闇〟が空を、大地を、人々を――あらゆる〝すべて〟を包み込み、続いて大きな〝光〟が
「
「そのようですね。
大いなる闇へと流れてくる、若い女と、老いた男らしき声。女が『
かつて僕の居住室へ送られてきた、文書に記されていた名前。
彼らにとっては植民世界を一つ消し去ることなど、文字通りに不要な〝データ〟を消去する程度の――。
しかし、全接続を行なった僕のデータが、彼らに検知されることはなかった。結果として、僕だけは消去を
あの〝
「はぁ。何度やっても嫌になるわね。世界を消すっていうのは。……ねぇ、博士。あなたも気に入ってらしたのではなくて? ご自身の〝
さきほどまでの口調と違い、女が砕けた様子で
古の賢者バルド・ダンディ。おそらくは、
「〝
「……よく言うわね。消した当人のくせにっ!」
彼女はどういう立場の者なのか。感情的に振舞う様子からは、植民世界へ心を寄せているとも受け取れなくはないのだが。
「さて、今回の結果を踏まえ、次の
「そうは
今なお
現在、
まずは世界の〝核〟となる、
新たな世界が闇の中で成長し、いつか
*
どれほどの時間が
遠い昔に暮らした世界では〝絶望的な作業〟であったと記憶しているが、現在の僕は希望に満ち満ちながら、この掘削を行なっている。
世界の
大地の奥深くには巨大な
また、球体の中の箱庭という関係上、方角を把握するための基準点が必要だ。旧世界の神話に
こうして原初の地を囲うように、かつての大陸群を復活させた。ただ、世界が〝外側〟に
*
しかし、まだ光を
僕は
さらに長い時間を要し、暗闇の世界で育った精霊たちは、最初に大陸の
炎、水、風、土、雷、氷。この六つの要素を司る精霊たちは、成長と学習を繰り返し、幼いながらも自我を発揮しはじめた。やがては精霊たちにも〝王〟たる
*
世界には大地が戻り、海と大気も構成された。
精霊たちによって気候や天候が生まれ、世界が
ここで世界に光を灯し、生ある者たちを迎え入れる準備を行なう。
まずはダム・ア・ブイを
旧世界にて信仰されていた〝光の男神ミスルト〟と〝闇の女神アリスト〟の
元々〝時間〟を司っていた光と闇の神々は、昼夜によって〝
*
僕が創った新しい世界。
ここまでの過程は順調そのもの。
だが、問題はここからだ。
ミストリアスには、数多くの〝平行世界〟が存在した。しかし、この〝
そう――。僕の全身を使った記憶領域を
幸か不幸か、レクシィが〝
また〝
僕の中に
しかし、たとえ僕がすべてを記憶できなくとも、
*
それからさらに年月は流れ、ついに世界に生き物たちが復活した。一足先に舞い戻った植物らに加え、人類や動物たち、そして魔物たちも戻ってきた。
かつての
人類は生命の営みを続ける
ヒュレイン、マナリエン、アルミスタ。そして、それらの混血種族たち。僕が
*
こうして僕は力を使い果たし、
「だから、いまは、少しだけ。ほんの少しだけ、眠らせて」
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