第77話 革命の魔女サンディ
第二の〝はじまりの遺跡〟を起動させるため、僕はかつて〝アルフレド〟として訪れた、ネーデルタールの森へとやって来た。
しかし、そこで僕は魔物に往く手を
その時、
「どうした、同志よ! まだ立ち止まるべきではないだろう! さあ、手を伸ばせ! 共に世界救済のための〝鍵〟を開く時だ!」
まさか彼は――。
かつて僕の
彼は全身を包み込むような真っ赤なスーツを着ており、さらに頭部全体を〝
「ああ、この姿か? 実は
アルフレドは身振り手振りを交えながら、慣れた様子で
要約すると、彼は
「どうだ? わかってくれたか? 親愛なる同志よ!」
「あっ、うん……。なんとなくわかった。――とにかく、ありがとうアルフレド。もしかして、君もミルポルから事情を聞いて……?」
とにかく、いつまでも
「ノン! 俺は、俺自身の〝正義〟に導かれるままに戦っている! たとえ我が身が
アルフレドは宙返りをしながら前方へと飛び出し、再び奇妙なポーズを決めてみせる。彼のアイデンティティは元々強固ではあったのだが、
「どうだ、かっこいいだろう? 子供たちにも人気でな! 絵本もあるぞ?」
「えっと……。うん、かっこいいと思うよ。すごく」
ああ、駄目だ――。どうにも調子が狂ってしまう。
僕は彼の自慢話を適当に受け流し、目的地への到着を
しかし、
*
アルフレドの護衛によって、魔物の襲撃も難なくかわし、ついに僕らは二つ目の〝鍵穴〟である〝祭壇〟の前へと辿り着いた。
「俺の活動を聞きつけて、有志が清掃を手伝ってくれてな! どうだ? このウサギのぬいぐるみは、街の子供たちが飾ってくれたものだ!」
「そうなんだ……。君は本当に、皆から愛されているんだね」
僕は〝
《サイト・デルタ。認証完了。デバッグルームへの進入は許可されません》
アルティリアの時と似たメッセージ。それと同時に
しかし次に訪れるべき場所は、あの〝魔法王国リーゼルタ〟の中にある。空も飛べない今の僕が浮遊大陸に入る方法を、どうにか見つけなければならない。
「うむ! 正義は成されたようだな! 同志よ、もっと歓喜してはどうだ?」
「うん。実は問題があって。次の〝はじまりの遺跡〟の場所なんだけど――」
僕はアルフレドに次の〝遺跡〟がリーゼルタに
「なんだ、そんなことか! 案ずるな、
アルフレドは言いながら、左腕に内蔵された
「こちら、レッド。クエスト完了だ! 親愛なる同志が迎えを希望している!」
「はーい、了解っ!……座標確認! それじゃ、そっちに
――いや、違う。僕は〝さっきの声〟を、間違いなく知っている。
間もなく僕らの付近の空間に、見覚えのある白いひび割れが生じはじめる。そして、
「よしっ、成功! たくさん実験しておいてよかったぁ!――お待たせっ!」
「そんな予感はしてたんだけど。……やっぱり君は〝サンディ〟だね?」
僕の問いかけに対し、少女が満面の笑みで
それでは僕が〝アルフレド〟や〝サンディ〟として降り立った世界は、すべて〝農夫〟の世界だったということになる。思えばアルフレドでの
もしや、ディスクが頭の中へと移動したことにより、
「この
僕はサンディに促され、急いで〝渦〟の中へと入る。そしてアルフレドの方を振り返り、彼に向かって親指を立ててみせた。
「ハハッ! いいぞ、その意気だ! 幸運を祈る。――同志よ!」
「アルフレド……。ありがとう。この世界を守ってくれて」
やがて
*
即席の
ここは確か、リーゼルタ王立魔法学校の理事長室。サンディが着ている上等な
「現在、リーゼルタは魔王ヴァルナスとの最終決戦に備え、ネーデルタール東の海上で待機しているの。でも――」
サンディは言葉を切って小さく首を横に振り、机の上から大型の
「まずは
「ああ、もちろん。……まぁ、さっきの言葉で大体は察したけれど」
僕が苦笑いを浮かべると、サンディが
まさか魔王の正体が、あのヴァルナスだったとは。〝勇者〟の世界では一応の〝救い〟を得た彼ではあるが、この〝農夫〟の世界では
「もしかして、その最終決戦にはレクシィさんも?」
「ネーデルタール王国騎士団と一緒に居るみたい。この世界では、彼らが魔王との最終決戦における〝決戦部隊〟を
僕が魔王と戦った際には、すでにネーデルタールは滅ぼされてしまっていた。
「レクシィさんが表舞台に立ったということは、つまり……」
「うん……。今夜は〝
ルゥランの言葉によると、レクシィも世界を救うための、重要な鍵を
*
僕らは道を間違えぬよう
「ふぅ、遠かったぁ。それじゃ、すぐに
サンディは
「
「また、リセリアさんに怒られちゃうな」
「うっ……。あとで〝ゼルディア様〟に謝っとく。――ほらっ、着いたよ!」
僕は静かに
《サイト・オメガ。認証完了。デバッグルームへの進入は許可されません》
三度目の
「ありがとう、サンディ。
「あはは。でも、マパリタが言ってたでしょ? 『あんたは
確かにマパリタは言っていた。しかし、あれが
「それじゃ、
最後の遺跡のある
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