Wルート:金髪の少女の探求
第67話 魔法の学校は苦難でいっぱい
ミストリアスへの五度目の
とはいえ、僕自身に残された〝命〟の時間は残り少ない。明日か、それとも明後日か――おそらくは近日中に、世界統一政府から〝終了処分〟の通達が届くだろう。
「熱い……。頭が
あくまでも目的は〝はじまりの遺跡〟の場所を確認すること。ただ
「よし、行こう……。すぐに見つけられるといいんだけど」
次の目的地は、魔法王国リーゼルタ。
あの国はミストリアス全土を常に飛び回っている、浮遊大陸に
リーゼルタに
しかし、いくら事情を丁寧に説明したとしても、〝アインス〟の
――で、あるからこそ。僕は僕にしか出来ない、とっておきの作戦を使う。
「
おそらくは、今回が最後の〝接続〟となる。
次に
起動の
*
六度目となるミストリアスへの
しかし、目的である〝はじまりの遺跡〟の探索へ出ようとした矢先のこと。僕は
「――はい、それで? つまり
「はい、です……。ごめんなさい、先生……」
僕の眼前に
「サンディ! それで許されるとお思いですか! しっかりと悔い改めなさい!」
「ひゃいぃ……! ごっ、ごめんなさいぃ――!」
先生に大声で
この〝屋外演習場〟には、大量の黒煙が
そして、その大火災の原因は――。
なにを隠そう〝サンディ〟こと
「いいですか?
「うぅっ……。はっ、反省してますぅ……」
確実にリーゼルタへ入るための秘策。それは新しく
こうして僕はハーフエルフ族の学生・サンディとなったは良いものの、なんと魔法学校から自由に外出するためには、
これは完全に想定外だった。間違っても僕には、のんびりと学生生活を送っていられる時間など存在しない。そのため一刻も早い卒業を目指そうと、僕はクラス分けを兼ねた〝マト当て試験〟に文字どおり
*
延々と繰り返され続ける小言を聞き流しながら、僕は大幅に狂ってしまった計画の見直しを考える。――まずは
ただ、これまでの二つと同様に、できれば僕自身の眼でも〝遺跡〟の正確な位置と状態は確認しておきたい。得た情報が単純に間違っていたり、あの〝光の鍵〟を
そして次に、学校から脱出するための方法だ。これは単純ながら、中身である〝僕〟だけが現実世界へ戻ってしまえばいい。そして再度の
しかし、この手段では〝改めてリーゼルタへの侵入方法を考える必要がある〟ことに加え、僕の失敗の罪を負わされたうえに
「サンディ! 聞いているのですか!? 返事をなさい!」
「はいっ!? ももっ、申し訳ございましぇえん――!」
僕自身の落ち度とはいえ、こんな場所に閉じ込められてしまっては精神が
リーゼルタへの侵入には〝策〟を講じたものの――。
ここは真面目に反省し、正攻法で
*
ミストリアスで、――もとい〝魔法学校〟で過ごす最初の日。
夕陽が沈みかけた頃になって、ようやく僕は先生の説教から解放されることができた。しかし大失敗のペナルティとして、明日からの〝特別授業〟を受けること、および〝無許可での魔法の使用〟を禁じられてしまった。
厳しい管理体制下での抑圧された生活。
これでは〝現実世界〟と変わらない。
「うえぇ……。酷い目に
質素な夕食を終え、寄宿棟の自室へと戻った僕は、うつ伏せにベッドに倒れ込む。胸に少しの圧迫感はあるものの、幼さの残る体型のせいか、あまり違和感はない。
硬く小さなベッドで
「まぁー、悪いのはわたしだから……。でも誰にも
僕の魔法によって学校の建造物や備品は盛大に焼き尽くしてしまったものの、周囲の皆の
当然ながら、僕も消火に参加しようとしたのだが――。
『燃やすだけでは飽き足らず、学校を氷漬けにするつもりですか!』
あの先生のキンキンとした怒鳴り声が、
僕は気分を変えるべく、久しぶりに脳内にインストールされた〝
すでに僕自身の知識となっている情報も多いのだが、まだまだミストリアスには知らないことが山のように残されている。前回の冒険ではネーデルタールの
当然ながら、この世界には〝アルディア大陸〟以外の大陸もあり、まだ僕が訪れたことのない多くの国々が存在する。
「うーん。……ここからじゃあ、出られないかぁ」
窓は〝
いっそのこと、窓を破壊してしまおうという考えも頭を
さらに、さきほど
「なんか、前にミルポルが『この世界の魔法はショボい』って言ってた気が……」
ミルポルと出会ったのは二回目の
「魔法かぁ……。もっとすっごい魔法が使えたらなぁ。こう、ばばーん!――って」
昼間、僕が起こした大火の際も、超高温での燃焼による溶解や焼失のみが起きていた。これまでに僕が見てきた技能の中で〝破壊〟を主としたものと
そういえば、二番目の
「うぅー。ダメダメ。また学校を壊したら、今度はお説教じゃ済まないかも」
いくら学生の身分とはいえ、度を越した振る舞いをすれば厳格な裁きを受けることになるだろう。また
*
煮詰まってしまった頭を冷やすため、僕はシャワーを浴びることに。部屋に
僕の耳は真横に向かって長く、先端の部分が
「あは……。やっぱ、ちょっとだけ緊張しちゃうな」
いくら自分の
「ああー、もうっ! ヘンなことばっかり考えないで、早く入っちゃおう……」
なるべく自身の
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