Aルート:赤髪の青年の冒険
第64話 熱き正義の執行者
四度目の
そこで、僕は勇者となり、魔王を打ち倒すことに成功した。
しかし、世界を――。
ミストリアスを本当の意味で救うため、まだ僕には成すべきことが残っている。
「それでも行かないと。残る二つの〝はじまりの遺跡〟を見つけるんだ」
僕は激痛に耐えながら、頭部に接続器を差し込み、
*
「ようこそ。ミストリアンクエストの世界へ」
いつもの白い空間で交わす、ミストリアとの接続手順。念のため
「まずは
「それじゃあ……。二番目ってことで〝アルフレド〟にしようかな」
この違和感のある『八文字以内』という言葉。おそらく〝
「――登録が完了しました。親愛なる旅人・アルフレド。それでは、よい旅を」
しばしの沈黙のあと、ミストリアが再び声を発する。
無事に手続きを終えた僕は〝新たな
「まずはネーデルタールの〝遺跡〟を探そう。――近いと嬉しいんだけど」
思考に
*
五度目の
そこは土色の
「ここは……。
僕の口から言葉が
ポーチの中を確認するが、やはり〝いつもの薬〟と〝寝巻き〟が入っているだけだった。僕は財布の中へと手を突っ込み、中から
「なるほど。悪くはないな」
「よし! それでは、さっそく東へ向かうとするか!」
自身の勇ましい姿を確認したせいか、口調も自然と〝戦友たち〟のものに近づいてしまう。事実、
「おおっと!
何かがぶつかった衝撃と共に、僕の手から銀貨がもぎ取られる。僕が略奪者の方へと目を
「こんな道のド真ん中で、
「ほう? そうかい――ッ!」
そう言い返すや
「ならば、これは俺からの教えだ。強盗を働けば痛い目に
僕は奪われた銀貨を空中でキャッチし、それを財布の中へと
確かに僕は、すべての人類を――。悪人も含めた、すべての人々を救うと誓った。しかし、だからといって〝悪事〟までをも野放しにするつもりはない。
それにしても。少々〝やりすぎた〟とは思うのだが。
とはいえ、ずっと
僕は街から脱出すべく、バザーの並ぶ大通りを北へと進む。すでに口の中には、嫌な〝砂の味〟が広がっている。思えば
そんなことを考えながら歩いていると――。
*
悲鳴を耳にした瞬間。
僕の
これで何度目だろうか。あの悲痛な声は、決して忘れることはない。
――間違いなく、ミチアのものだ。
人々の間を強引に
「ガース! この野郎ォ――ッ!」
現場を取り囲んでいる野次馬たちを押しのけて、僕はミチアに手を伸ばそうとしている、ガースに向かって突撃する。そして蹴り上げた一撃で素早く左手の剣を弾き落とし、奴の顔面に拳を叩き込んだ。
「グボァ……! クソッ、なんだテメェは!? よくも俺の楽しみを……」
「
奴の凶行を目にした僕は、本能的に勇者の技を発動させる。
正義の光を
「ミチア! 大丈夫かッ!?」
ガースには目をくれず、僕は地面に
「よかった、無事みたいだな! 誰かと一緒に
「うっ……? ううっ……」
ミチアは
あとはソアラに任せておこう。
今回の〝僕〟では、おそらくミチアと打ち解けることは不可能だろう。
僕はミチアの緑色の髪を軽く
「うぶぇ……。すぺぺっ……。うぺぺぺぺっ……」
ガースは大の字に倒れたまま失禁し、なにやら奇妙な声を
「おいッ! ずっと
白目を
「いいかッ! この場に
いずれの世界においても、ミチアはガースによって悪事の犠牲となっていた。そして、いつも凶行の現場には――何をするでもなく
「わっ、わかった! おい、道を開けてくれ!」
僕の
ミチアの
僕は再び周囲の人々を
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