第18話 自由都市ランベルトス
ガルマニアの
その日以降。昼は戦闘訓練も兼ねて魔物を狩り、夜は知識を深めるべく、脳内の
どうやら魔法を使う際には、〝
つまり魔法とは周囲の
◇ ◇ ◇
「ふぅ。――この剣も、かなり使いこなせるようになってきたかな」
訓練を開始して四日後。集合を明日に
僕は念入りな準備を終え、
「うん? そういえば、この本は……?」
磨き終えた剣をポーチに
僕は何となくその本が気になり、剣と入れ替わりに
見たところ内容は、ミストリアスの歴史書に該当するものだろうか。
本文中には
「デキス・アウルラ? この文字は、ミルポルが書き込んだのかな?」
ああ見えて、意外と勉強熱心だったのか。自身の世界との比較や、応用できそうな魔法技術や政治形態など。そういった部分には大量の線や矢印、書き込みなどが集中しており、そういった部分を
書き込みのなかで目立つ単語は、消滅・終了・
そして〝もう時間がない〟といったものだった。
「えっ……? まさか、ミルポルの世界は……」
デキス・アウルラはミストリアスと同じく、消滅を迎えようとしている?
世界の消滅が、どのようにして
しかしミルポルの書き込みからは、何者かによって明確に、直接的に――〝世界の終わり〟を宣告されたと受け取れる記載が多数見受けられる。そして
もしかするとミルポルが地下酒場に
「あっ……。マズイ、もう寝なくちゃ」
僕は机の上に広げておいた、アレフから貰った
現在の時刻を知る術は無いが、〝光の
友人の状況は気になるが。
僕に取れる手段は何もない。
もしかすると、すべては
そんな希望的観測と、ミルポルの無事を願いながら。
僕はベッドに入り、出発に備えて眠りに
◇ ◇ ◇
翌朝。ミストリアスに、また新たな
卓上の
僕は
外門を抜けて街道へ出た僕は、
これは事前に街で情報収集していた際に、住人から教わった移動手段だ。僕は戦うことも出来るので、「護衛も兼ねる」との条件を提示し、交渉はすぐに成立した。
「兄ちゃん、戦争に行くのかい? 砂漠の連中は
南へ向かう隊商の馬車に
これまでの期間、街で砂漠エルフについても情報収集をしてみたのだが、やはり彼らへの評価は、〝
もう人類との戦いに抵抗がなくなったと言えば
僕も戦いに
◇ ◇ ◇
幸い、道中には魔物や盗賊といった障害が現れることもなく、まだ陽が高いうちにランベルトスへと
僕は商人に運賃を支払い、乗せてくれた隊商に別れを告げる。
そしてランベルトスの外門を
「これは、すごいな。ゴチャゴチャだ」
自由都市の名の通り、周囲には商品を売るテントや日よけのある簡易的な屋台が、
アルティリアの王都が赤や白を基調とした上品な街並みだったことに比べ、この街は野性味に
真っ直ぐに伸びる街路の先には巨大な建造物があり、その丸みを帯びた屋根の形状からも、
「とにかく、リーランドさんを探さないと。まずは酒場だな」
冒険と情報収集の基本は〝酒場〟だ。
僕は商人らの間を
周囲には
集合日まで
どうやら、その選択は大正解だったようだ。
いくら世界が変わっても〝土の味〟だけは、どうしても僕は好きになれない。
◇ ◇ ◇
酒場へ入った僕は口直しにと、ランベルベリーのジュースを注文する。
この果物は前回の人生で、僕も育てた経験がある。
名前の通り、ここ〝ランベルトス〟の特産品なのだろう。
ジュースを味わいながら、
僕は情報料を上乗せした代金を支払い、街の南側の、教わった場所へと足を運ぶ。
◇ ◇ ◇
ひび割れた砂色レンガの壁を
僕は入口付近にいた男に近づき、彼に用件を伝えてみる。
「すみません、僕はアインスという者です。リーランドさんに会いにきたんですが」
「あぁ? 団長に? そこで待ってろ」
彼は少し
やはりここが、リーランド率いる傭兵部隊の陣地らしい。
僕が言われたとおりに待機していると――やがて奥のテントから、燃えるような赤い髪をした男が姿を現した。彼は僕に気づくと気さくな様子で右手を挙げ、笑みを浮かべながらこちらに近づいてきた。
「アインス! 来てくれると信じていたぞ! ようこそ、ガルマニア傭兵団へ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます