第8話

「はいど~も~マオマオちゃんねるです!」


『マオちゃんきた~!』

『待ってた』

『お ま た せ』

『ケガ大丈夫?』


「ケガはもう大丈夫だよ! まだちょっと痛むけど……みんなと早く会いたかったからね!」


『女神か?』

『俺たちのマオちゃん』

『無理しないで』


「無理してないよ~……さて、今日はM区のダンジョンに来てるわけなんだけど、そのまえに重大発表があるって通知、してたよね」


『ん?』

『なになに?』

『待ってました』


「なにかな~なにかな~? ……それでは発表します! 助手く~ん!」


『助手?』

『うおおおおおおおお』

『助手ってなんだ』


「どうもこんにちは。助手です」

「はい拍手~」


『わあああああああ!!!!』

『なんだこのキツネwwwwwww』

『8888888』

『誰だこいつ』


「今日から助手として、わたしの配信を手伝ってもらう人だよ。じゃあ自己紹介よろしく!」

「なにを言えばいいの? ……助手と申します。年齢は二五です。趣味はダンジョン探索……職業は……」


『陰の者じゃん』

『声くっらw』

『配信慣れしてないな~w』

『誰だこいつ』

『俺も助手にして』


「助手くん下手すぎ~わたしから紹介するよ~」

「お願いします」

「助手くんはね~前の配信覚えてるかな。そこで助けてくれた人だよ!」


『え!?』

『ポニーテールの人じゃん』

『あ~あの人か』

『扉の人』

『扉とポニーテールの人だ』

『とびポの人』


「はい……ポニーテールの人です……すみません……」


『wwwwwwwwwwww』

『元気出してwww』

『泣かないで』

『ポニーテールです(キリッ)』


「みんなイジメないの……助手くんはすごい強いんだよ」

「いやそんなことは……」

「それはないよ」


『それはない』

『それはない』

『それはない』


「そ、そうかな……うん、マオさ……師匠のボディガード兼助手としてこれから頑張っていこうと思います。よろしくお願いします」


『頑張って』

『応援してる』

『娘は渡さんぞ』


「娘ってなに~? 誰かの娘になった覚えはないんですけど~?」


『かわいい』

『反抗期』


「……助手くん、ほら話振って……」

「あっ! 師匠、今日はM区のダンジョンに来ましたね……! えっと、なにをするんですか?」

「そうそう、それでいいんだよ。よくぞ聞いてくれました!」


『グダグダで草』

『大丈夫かこいつら』

『ほほえましい』


「助手くん、例のモノを」

「はい」


『えっ?』

『いまどっから出したんだこれ?』

『スケッチブックが急に現れたみたいだけど……』

『どういうこと?』


「ふっふっふ……【扉の人】だからね。いろいろできるんです」

「まあ、召喚術みたいなもんです」


『すごい』

『すご』

『空間に干渉できるってこと?』

『スキルってすごい』

『普通のスキルじゃないな』


「それではこの絵を見てください」

「なんですか、これ?」

「えっダンジョンの見取り図だよ」

「モンスターの絵かと思ってた……」

「え~!? どう見ても地図じゃん!」


『wwwwwwwwww』

『wwwwwwwwwwwwwwww』

『へった』

『画伯』

『wwwwwwwwwwwww』

『助手くんオモロイやん』


「もう……今回はここに行きます」

「え~と、中層の沼地バイオームだね、多分」

「多分じゃない。ここにはしゃべるクロネコちゃんがいるって噂があるんだよ」

「しゃべるクロネコ……かわいいなあ」

「きっとかわいいよねえ」


『かわいい』

『助手くんかわいい』

『ふたりともかわいい』


「そういうわけだから、いまからここに向かうんだよ。ボディガードよろしくね」

「師匠にはボディガードいらないでしょ」

「どういう意味なの? わたしだってか弱い女の子なんですけど〜」

「か弱い……か弱っ、か弱い……? Aランク、か弱い……」


『本気で困惑してるw』

『か弱くはない』

『Aランク探索者でか弱かったら俺ら息してるだけで死ぬぞ』

『扉の人のほうが強いっぽいし、相対的にか弱い……のかな?』


「わたしのことゴリラかなんかだと思ってない?」

「ま、まさか。せいぜいメスライオンくらいな感じだよ」

「狩猟民族じゃん!」


『wwwwww』

『ライオンはオスが狩りをせず、メスが獲物を狩ってくるそうです』

『なるほどなぁ』


「も〜メスライオンでいいです! マオちゃんねるとしてネコは欠かせないから、それでよしとします」

「いいんだ……」


『いいんだ……』

『いいんだ……』

『いいんだ……』


「ってしゃべりすぎた。もう一五分も経ってるよ。そろそろ向かわなくちゃいけないね」

「あの、カメラとかは……」

「大丈夫大丈夫。飛ぶスマホで撮影してるから。助手くんはついてくるだけでいいよ〜。必要な機材とかその都度言うしね」

「撮影の裏側ってこんなに気軽に言ってもいいもんなの?」

「うーんどうだろ。みんなはどう?」


『たすかる』

『むしろもっと台本とか出してくれてええんやで』

『素のマオちゃんが見れて嬉しいです』

『問題ないです』


「はあ……そういうもんですか……」

「そういうものだよ! それじゃ、ついてきてね! あっこの地図持っといて」

「役に立たないでしょ」

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