第36話 始動

ゼウスが帰った後、シオンが痺れを切らして突入して来た…その後に続き皆も揃ったので何が起こったのかを説明


全てを話し終えたのだが…やはりゼウスの詫びの品が問題になった…そりゃそうだ…居たはずのロキも居ないし、全裸の美女と2人きり…

あれ?俺、何も悪くないのに…俺のせいじゃないのに…


「それで?私達を追い出して、貴方はこの綺麗な人と一体何をしていたのかしら?」


俺は黒いオーラを放ち、腕を組んで佇むシオンに睨まれ正座していた…おい、こらそこ!何手を合わせてんだよ!


「マスター!肉体を得た私がどれ程有用か確かめるためにも早くご指示を!」


その俺を掴んで大きく揺さぶる美女…メティスが何か言ってる…眼前の鬼が見えないのかな?


「誰が鬼ですって?」


ひぃぃ!!こ、心を読まれた!?


「声に出てたわよ?じゃあ覚悟はいいかしら?」


そう言って掌に炎や氷、雷などの魔法を展開…あ、死ぬかも…


「む?マスターに危害を加えるのですか?シオン、あれ程マスターと絡み合っていたというのに…なるほど、これがツンデレというものですね」


「な、なんの話かしら?」


唐突にシオンに話しかけるメティス、しかし、その内容がいけない…シオンは頬を染めて誤魔化す


「昨夜のマスターと貴方の仲睦まじいまぐわいですよ?あんなにもマスターを求めていたのに…あ!マスター!この体ならば私も出来るのでは?!今夜どうですか?」


「飲みに誘うみたいに言うな!するわけないだろ!?」


「ちょっと!あ、貴方…あ、あの時、見て…」


「おっと、私としたことが…自己紹介が遅れました、私の名はメティス…マスターに宿りし神が創造した意思あるスキルです…今では肉体を得てここにいますが、先程までマスターの中におりました…と、言うわけでシオンの質問に答えるのならばそれはもうバッチリと鑑賞させて頂きました!」


「い、いやああぁぁぁぁ!!!!」


顔を真っ赤にした叫ぶシオン…というか見てたのか…


「何を恥じているのですか?あんなにも積極的にマスターの「それ以上は止めようか!俺にもダメージが来る!」…そうですか」


「ね,ねぇ…ジン君、この人…ホントにスキルなの?」


恐る恐るといった感じで咲が質問してきた…


「ん?まぁそうだな…世界を救った褒美として貰ったのがメティスだ…」


「まさか、神が顕現なさるとは…あの少年も神だとか…いやはや、私もお会いしてみたかったですな!」


「アグニ、何を呑気に…そのロキとかいう神が帝国に何か仕込んでいるという話じゃないか、奴の目的が世界の破壊ならば早急に対策をねならばなりません」


「その通りだ、既に影を帝国に送って調べさせている…が、難しいだろうな、今までその様な兆しは見つからなかった」


「そうね、でもそのロキ?が宣言しているのならば前兆は起きそうなものだけど…後手に回ってしまうわね」


あっちで何やら会議が始まっている、俺もそっちに行きたい…


「ジン?聞いているの?私は貴方が妾を何人囲おうが拗ねるだけで許してあげるつもりなのよ?でもね、幾らなんでも早すぎるんじゃない?」(もう少し2人きりを楽しみたかったのに…)


「シオン、安心してください、私は正妻の座は欲しいわけではありません、私の存在意義はマスターのお役に立つ事、マスターが望まなければ何もしません、望めばその限りではありませんが」


「そうだぞ!別に俺が望んでいるわけではない!それに…俺はシオンだけだ」


「ちょ!不意打ちはずるいわよ!」


「さて、姫様、そろそろ宜しいですかな?帝国に対して策を練らねば」


ザクソン!流石だ…俺を心配して


「その阿呆の事は話が終わってからごゆっくり…」


裏切り者!!


「そうね、じゃあ…あら?」


「む?なんだ?」


ザクソンの影から人が出て来た…配下の影人族か?


「…………あぁ……………確かか?………そうか、ご苦労」


「ジン、さっさと立て…動きがあったぞ、帝国ではないがタイミング的にロキの策略だろう」


「ねぇ、ザクソン…今の子、私達以外の七大罪の調査をしていた子よね?まさか…」


そうなのか?って、おいおい…


「七大罪が1人…憤怒のアルビオンが帝都に向けて軍を率い魔王領から進軍を開始した…魔王様を退けて…」


「うそ!パパがアルに負けたって言うの!?」


「えぇ、どうやらアルビオンは尋常ではない気配を漂わせ、まるで別人だとか…魔王様は撤退…命に関わりはありませんが傷を負い戦線には戻らぬと…他の七大罪もそれぞれ軍を用いていますがアルビオンの配下も異常な強さらしく足止めが精一杯だそうです」


「ロキがなんらかの術か何かでアルビオンを操り強化したってとこか…狙いは帝国でではなくて帝国をって事か…肝心のロキはもういないから直接操られているわけじゃないだろ…」


憤怒のアルビオンかぁ…七大罪の中では真ん中くらいに強かった奴だ…彼はフェンリル族の族長の息子だ、彼等は狼と人、両方の姿になる事が出来る、魔王城にいた頃よく一緒に飲んだな、裏表がなくて気持ちのいい奴だった………あれ?フェンリルって確か…


「ね、ねぇ…ジン君、フェンリルって私達の世界じゃロキの子供じゃなかった?」


そうだ、フェンリルはロキが…えーと、巨人の…誰だ?とにかく巨人との間に産まれたって伝説があった、神を殺すものとして


「メティス、この世界でフェンリル族とロキに何か関わりがあるのか?」


「いえ、全く関わりはありませんが…産まれは違えどフェンリルに間違いはありません、そのせいでロキに目をつけられたかと…」


「しかし、アルビオンがおっさんより強いって冗談だろ…もう、俺が相手しないといけないじゃん…やだなー」


「もう!しっかりして!私のしゃて……友達を助けてよ!」


今舎弟って言いかけなかった?そいういやアルビオン、シオンの事、あねさんって呼んでたな…


「ま、やるしかないか…ザクソン、俺がアルビオンと戦うから他は任せる、なるべく被害が少ない方で」


「簡単に言う……が、任せておけ」


帝国の為じゃない、友人を救う為に戦う…

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