第25話 降臨…
帝都から帰還を果たした俺達は取り敢えず空き家に殿下を寝かせてその周囲の家にもセバス達に提供した
「お姫様が暮らすには小さいが不便はない筈だ、何かあったらそれぞれの家に取り付けられた電話…通信機を使ってくれ」
「こ、これは…凄い!セバス様!この銀色の細長い物から水が…え!?お湯になりました!」
「おぉ、以前来た時は家など見ている暇はなかったが、素晴らしい街だ、道も綺麗に整備されているし家も清潔だ…何よりもこの設備は…これが全ての家に普及されているとは…」
おー驚いている、初めて見る人は皆そういう反応だよな…
「ふぅ、任務は完了だな…さて、お前達はこれからどうするのだ?」
「それは後でいいだろう、どっちみち殿下が起きないと何にもならないだろ」
そう言うとセバスが不安そうな顔で
「ジン様…我々が殿下を説得出来なければ帝都に帰すとは本気なのですか?」
「あぁ、本人の意思を無視してここに連れて来たのだって俺はよく思ってない…これは誘拐だ、あの時は時間がなくて仕方なかったが…人攫いの真似なんてしたくはなかった、殿下が帰ると言ったらその通りにする」
「そ、そんな…」
「…………………」
…なんだ、セバスとエルの後ろにいる奴らは…何故、俺が睨まれなければならない?
「…おい、貴様ら誰を睨んでいる?そもそも、貴様らが我らを巻き込んだのだろう…不満があるのならばお前達で勝手にやれ…消すぞ?」
おいおい…ザクソンが殺気を放って彼等に詰め寄る、なんでそこまで怒ってるんだよ、ホラ、ビビっちゃってるよ
「ちょ、ザクソン…」
「お前は黙っていろ、お人好し…俺は初めから気に入らなかった、コイツを追放した帝国も、人の皮の厚い貴様らも…揃いも揃ってコイツを舐めよって…ジンは貴様らの便利な道具ではない!貴様らなんぞと比べるまでもない高潔な魂の持ち主だ…それを…」
「ザクソン、落ち着け…もう良いよ、ありがとう」
「………チッ、俺は先に戻る…お前はもっと自分の事も考えろ」
そう言ってこの場を後にするザクソンを見送りセバス達に向き合った
「……今日は一先ず休んで下さい…一応、貴方方は客人として扱います、ですがあまり勝手に出歩かない様に、俺とザクソン以外は貴方方の事を知りません、侵入者として捕縛されたくなかったら大人しく寝て下さい」
「なっ!貴様…セバス様!?」
何かを言いかけた若い男をセバスが手で制す
「わかりました、ジン様寛大な御心に感謝いたします…皆、ジン様に従いなさい…良いですね?」
「しかし!」
「良いですね?」
納得がいかないと言う男にギロリと睨みを効かせる
「わ、わかりました…」
「それじゃあ、俺はこれで…おやすみなさい」
「はい、ジン様、何から何までありがとうございます」
セバス達と別れて家に帰る…
はぁ、疲れた…さて、また問題が出来たな、まぁ後は殿下次第だな…っ!?殺気!?
ズリ………ズリ………ズズ…
「?…………なんだ?」
何かを引きずる音がするぞ?
「…………ひっ!」
悪い事をすれば必ずその報いを受ける、それは当然の事だ
「ジ〜〜ン〜〜?」
ボロボロになったザクソンを引きずって現れたのは目のハイライトを消し、無表情のシオンだった…やめて!その顔で首を傾げないで!
ま、魔王!?
「一体私を……仕事をほったらかして何処に行っていたのかしら?ザクソンは最後まで口を割らなかったわ、コイツが私の言う事を聞かないなんて、随分と厚い信頼ね?妬けてしまうわ、後ろの家にいる人間達と関係あるわね?あら?女もいるみたいね?どういうことかしっかりと説明して貰いましょうか?あぁ、安心して?貴方はコイツみたいに殴ったりしないわ、でも?もしかしたら手が勝手に動いてしまうこともあるかもしれないわね、あ、手じゃなくて足かも、魔法も暴発しちゃうかも?でも、きっと大丈夫よね?貴方ならきっと耐えてくれるわ、それにちゃんと話してくれれば何も問題ないわ、まぁ内容次第だけだけど、それにしても私はまだ貴方の信頼を得られていないのかしら?不安になってしまうわ、私はこんなにも貴方をあい……信頼しているというのに、私だってジンの力になりたいのよ?その為に貴方に会いに来たのですし、貴方と出会ってからは己を磨くことも欠かしていません、研鑽を積み少しでも役に立つ為に……」
怖い怖い怖い!!
顔が口以外動いていない!あと、さっきからザクソンがビクビクしているけど大丈夫か!?
「聞いているのかしら?」
「は、はいぃ!!」
「………………」
だから、怖いって!その能面の顔で眼前に来ないでくれ!
「……………………バカ」
俺の服の袖を摘み、涙目で顔を見上げてくる…か、可愛い……はっ!俺は何を…
「ご、ごめん…黙って行ってしまって、今度からはちゃんと説明するよ、取り敢えず…ザクソンを手当しよう、さっきまでビクビク痙攣していたのに今は動いていないぞ?」
「え?………あ、息してない…」
「ザクソーーーン!!!」
その後、しっかりと神聖魔法で回復(蘇生)させました
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