第18話 騒動
クレアからの連絡を受け、住宅区へと走る
目的地が見えてくると人だかりを発見、クレアの魔力を感じ、そこへ向かった
「クレア!……っ!!バエソン!?」
そこで見たのは片膝をつくクレアと倒れたバエソンがいた
おいおい、七大罪とハイエルフを倒す相手がいるのか!?報告では人間の筈だ
「もう…何なのさ、アンタは…この強さ、ホントに人間?」
「はっ!こんなもんかよ!女魔族!!これじゃあ準備運動にもなりゃしない!」
「………くっ!!」
クレアの眼前に立つのは黒髪に赤い目の女、剣を掲げて、それを振り下ろそうとしている
「はい、そこまで…ちょっとごめんよ!!」
間に割り込み、女を掌底で吹き飛ばす
「遅いよ〜ジン君〜」
「悪い!というかなんだあの女は!?触れた感触が鋼より堅かったぞ!それにお前らが負けるなんて…バエソンは?無事なのか?」
「そんなのこっちが聞きたいわよ〜バエソンは気を失ってるだけ〜あと任せてもいい〜?私疲れちゃった〜」
そう言って倒れ込む、どうやら相当追い詰められたみたいだ、魔力がかなり減っている…って!?
殺気を感じ振り返ると女が物凄い勢いで突っ込んできていた、慌てて防御…っ!?
感じる圧に咄嗟に聖剣を顕現させ、構える
剣が交わった瞬間周囲の人、建物が吹き飛ぶ
倒れていたクレアとバエソンも飛ばされていた
「ちょっと〜やり過ぎよぉ〜」
「俺のせいじゃねぇよ!なんなんだ!お前は!?せっかく作った街が……うお!?」
まさか力で押されるとは…見た目は人間だ…それに…コイツからは魔力を全く感じない…素の身体能力でこれか!
この世界に魔力を持たない物は稀に産まれる、その殆どが僅かな瘴気に晒されると命を落としてきた、だがその稀に生まれる者達の中でも100年に一度産まれるかどうかの確率
魔力が生きる為に必要なこの世界で、その呪いとも言える性質を代償に身体的能力が人の域を越える
「って、聞いた事はあるが…こんなの魔族すら凌駕しているぞ!」
魔力で限界まで強化してなんとか捌けている状態だ…強い!
「ハハハハハハ!!嬉しいぞ!こんな所に私と戦える奴がいるとはな!お前何者だ!いや、そんな事はどうでもいい!今はこの楽しい時間を共に過ごそうではないか!」
「お断りだよ!」
聖剣に魔力を込めて勇者の剣技を放つ…記憶が戻ってわかるが厨二病全開だな!
クソッタレ!!
「エクスカリバー!!!!」
「何!?うわぁぁぁあ………」
剣から放たれる眩い光に女は飲み込んだ
いや…
「あ………」
飲み込んだのは女だけではない、道、家、外壁を巻き込んで全てを破壊した、ヤッベー!!
「ジ〜ン〜?」
はっ!?
「シ、シオン…なんでここに…ルーセルスは?」
あ…引き摺られてる、頭にたんこぶがある
鬼の形相をしたシオンがルーセルス片手にこちらを睨んでいた
「ジン!何よこれ!クレア達の魔力を感じて急いで向かっていれば彼女の魔力は小さくなっていくと思ったら今度は貴方の魔力が!それを感じた瞬間にあの轟音!どうしてこんな事になってるのよ!どうしてクレアとバエソンが倒れてるの?この惨状は何?あの女の子は誰?貴方はその聖剣で何をしていたの?」
ひ、ひぃぃぃ!!
「ま、まて!これには訳が…ク、クレア!起きてるんだろ!?じょ、状況を説明してくれ!!」
あ!あいつ本当に寝てやがる…
「落ち着け、シオン!そこの女…っ!?伏せろ!!」
「邪魔するんじゃないよ!魔族の女!!」
嘘だろ!?あの一撃を喰らって動けるなんて、不味い!
「シオン‼︎‼︎」
女がシオンに向けて剣を振るう、突然のことに彼女も動けない、剣が迫る、間に合わない…
「よせーーー!!!」
「うるさーーい!!!」
「ブッフォ!!!」
「あ」「え?」
シオンに剣が迫る瞬間、下から伸びた拳に女が飛ぶ…うわー高い…
「やかましいぞ!人間!寝られないではないか!」
「よくやったぞ!!ルー!」
見事なファインプレーに褒め尽くす、頭も撫でてやろう!
「や、やめろ〜それと何を馴れ馴れしくよんでいるーー」
「ルー!ありがとう!おかげで助かったわ!」
「な、なんだ!2人して…も、もっと褒めるがいい!ムフフ…」
ベシャッ!と嫌な音を立てて落ちてきた女を見る…うわ、アイツまだ動けるのか、立とうとしてるぞ…
「な、なんだ…そいつは…」
「タフすぎるだろ…ドラゴンだよ」
「な…!?魔族にドラゴン…そしてお前…なんなんだこの街は…ぐっ………」
それはこっちのセリフだよ…なんだ?目が赤から黒に変わった?…漸く気を失ったか、しかし、どうやって拘束するか…素の力じゃ、鎖や光糸でもなぁ…
『マスター、オリハルコンの鎖を創造すれば可能かと、それと拘束も力が入らない様に縛れば問題ないでしょう』
…なんとも贅沢な鎖だな…仕方ないか、メティス、教えてくれ………シオンに頼むか
「シオン、これでコイツを縛ってくれ、縛り方は…」
メティスに教えてもらった方法でシオンに拘束してもらった
「ねぇ、ジン…この子いったい何者なの?クレアやバエソンを倒して、貴方とやり合えるなんて…」
「恐らく、魔力がない代わりに身体能力が高いだろうと思ったんだが…それだけでは説明できない強さだった…正直わからん、本人に聞くしかないな」
呪いとなんらかの加護が重なっている?だが、そんな気配はない…他に要因は…
「え〜自分でもわかってないんじゃない〜?見るからな脳筋っぽいし〜」
「イタタタ…申し訳ない、勇者殿、力及ばず…」
「バエソン、大丈夫か?水でも飲んでこいよ、傷も治るぞ」
こういう時にあの神水は大いに役に立つな
「さて、俺はここの修繕をするから、シオンは怪我人の確認を頼む、クレア、バエソンを連れて行って介抱してやってくれ」
「わかったわ、行くわよ、ルー!」
「しょうがない、おい、人間、労働の後の褒美を忘れるでないぞ!私はあの唐揚げを求む!!」
走っていくシオンを何やら要求をしてから追いかけるルー…アイツは日本の料理の虜になっていた
「よいっしょっと、痛い?」
「ハハハ、面目ない…少し…痛みます」
バエソンにクレアが肩を貸して歩いて行った、バエソンも心配だが、クレアも魔力を使い果たしている、まぁ2人とも神水で回復できる筈だ
コイツはどうしよう…拘束はしたけど、何処かに閉じ込めるか?一先ず邪魔だから、端に避けてっと…
壊してしまった家や外壁を直さないとな、メティス、手伝ってくれ
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