第15話 増える住民、急増
「どうも〜初めてまして〜セイと申します〜魔化学を専門の技術者をしてます〜どうぞよろしく〜勇者様〜」
計画を詰めて、それぞれに動いてもらって、数日後、まずは魔王国からの移住者がやってきた
凡そ、50名…え?多くない?
ザクソンによると内、10名程が技術者や研究者らしい、そのまとめ役がこのセイだ
残りは様々な分野で活躍している者達で、料理、鍛治、製鉄、漁業、主婦、子供と様々だ、家族で来てくれた者もいる、ありがたい事だ
彼女の種族はアラクネ、蜘蛛の下半身に人間の上半身がついているみたいな姿だ
他にも色々な種族がいる、ゴブリンにリザードマン、オーガ、ダ!ダークエルフだと!?すげぇ!初めて見た……あだ!
「ちょっと、ジン〜?ジロジロと見過ぎじゃないかしら?」
「なななななんのコトカナ?ヘブ!!」
「もう!知らない!」
シオンに足を踏まれて引っ叩かれた…はい、今のは俺が悪いです…
「あははは、面白い男だなぁ、それで、ザクソン様、この町に転移門を置くのかい?」
「あぁ、設置はジンがしてくれるそうだ、お前に頼むのはその後の管理と整備だな、あとは好きにするといい、研究所や作業場もジンに頼めば、好きな様に作ってくれるぞ」
おい、ザクソン…何の話だ?そんな条件俺は一言も言ってないぞ?勝手に雇用条件を決めるなよ!
「わぁ〜それはそれは…何とも好条件…でも、転移門の設置なんて彼に出来るのかい?そもそも、どうやって作るのさ、私達でも何ヶ月も掛かるのに」
な、何だ?どうしてそんなに目をキラキラさせて近づいてくるんだ?
「ねぇねぇ、勇者〜?君、転移門をどうやって設置するつもりなんだい?とても興味があるねぇ?」
「近い近い…それは君らからしたら不快な思いをするかもしれないが、俺のスキルを使って創り出すんだよ、その為に君の知識をのぞかせて欲しいんだ」
「スキル?知識を覗く?へぇ〜流石は勇者、何やら特別な力があるみたいだねぇ、その力はこの土地にある加護にも関係しているのかい?」
!?加護に気がついてるのか?一体どうやって…
「あぁ、警戒しないでおくれよ、私も加護を授かっているんだ、だから、なのかわからないけど加護を感じることができる、君やこの土地ほど強い物じゃないけどね」
「そうなのか?どう言ったものか聞いてもいいのか?」
俺以外に加護持ちと会うのは初めてだ、でもあまり神の気配は感じない…彼女が言った通りそこまで強いものではない為か?
「別に構わないよ、私の加護は多少、記憶力と発想力が強化されるものなんだ、ね?君からしたら大した事ないだろ?」
「何を言うか、君の技術者としての能力は魔王国でも飛び抜けている、それが加護の力のみとは言わないが、その恩恵は小さくはないだろうに」
「またその話かい?私なんてただ好きなことを好き勝手しているだけさ、大したことなんかしてないよ」
「君のそう言った謙遜は時に他者の気を害すると自覚したまえ……そう言えば、ジンもそうだったな、ふむ…その謙虚さも加護を得る条件の一つなのだろうか…?」
そういうものか?あの堕女神がそんな事気にするとは思えないが…
「まぁ、兎に角セイの加護はわかったよ、所で、君達は住まいはどうするんだ?既に家は何軒か事前に作っているが、要望があれば作り直す事も出来るけど」
「私は研究所兼作業場に寝る所さえ用意してもらえればいいかな、どうせ篭りきりになるだろうし」
「はぁ、研究に夢中で餓死しかけたのを忘れたのか?あの時は肝が冷えたよ」
マジか…ザクソンも苦労してるんだな
「そう言えば、ザクソンはセイについて詳しいんだな」
「あぁ、私は魔王国では魔化学の管理、と言うかそう言った分野に携わっていてな、その関係で割と会う機会が多いのだ、幹部は何かしらの役職が付いている、例えばクレアは街の治安維持と言った様にな」
「アイツに務まるのか?」
「ふ、肩書とは別に割と働き者だぞ?彼女は」
「そう言うザクソン様も強欲とは言えないですよねぇ」
「何を言う私ほど、強欲なものはおるまいよ…何せ私は欲しいと思ったものは全て手に入れてきたのだからな」
「その為に、態々一流の技術を身につけたり、自分で育成、作成したりはしませんよ、勤勉のザクソンの方が通りが良さそうです」
確かに、真面目だよな、ザクソンって…気がきくし、よく周りも見てる、人の扱いも上手い
「さて、いつまでも話し込んではいられまいよ、時間は有限だ…ジン、まずは全員の住まい、それから住民との顔合わせだ…こちらの方が難儀しそうだな」
確かに魔族は人類共通の敵という認識のはずだしな…兎に角、俺が何とかしないと
一先ずは先んじてこの町に来ている難民の代表と魔族の移住者の代表セイ、そしてザクソン、ホロ、シャミ、最後に俺を加えて会合を開く事にした
集まった時にセイを見てぎょっとしていた…心配だ、しかし、ザクソンには反応がないな、まぁ見た目では彼は魔族だと分かりにくいからな
彼の種族は鬼人と呼ばれていて、オーガから更に進化した種族だそうだ、オーガの時にあった角は鬼人になると小さくなるらしく、それでも分かるくらいには大きいのだが、彼の角は他の鬼人より更に小さい様で髪の中に隠れている、角以外人間と見分けがつかないので割と人間の町にも出向いている様な話を聞いたな
「集まってくれてありがとう、ではまず、こちらは魔王国からの移住者の代表のセイだ」
「紹介されたセイだ、代表と言っても私は一介の技術者なので気にせず接してくれたまえ」
「それでこっちが難民の代表のバエソンだ」
「初めまして、バエソンと申します…それにしても驚きですな、まさか魔族がいるとは…それに…失礼、領主様、貴方は勇者様ではありませんかな?」
っ!?何でわかったんだ?彼とは会った事はないはずだ、彼の元いた国にすら行った事はないのに…
「落ち着きたまえよ、ジン、まずは彼の話を聞こうじゃないか」
ザクソンに諭されて、落ち着きを取り戻す
「……すまない、確かに俺は勇者をしていた、だが、なぜ君が知っている?会った事はないはずだが?」
「申し訳ない、実は私は……エルフなのだよ」
彼が目を瞑り集中すると体が光出した、その光が収まると、顔や髪などが変化していた
「……エルフ、変身魔法か、中々に練度が高い、我々に気取られぬほどとはな…しかし、姿を偽っていた理由は聞かせてもらえるのかな?」
ザクソンが警戒レベルを上げる、エルフは魔族と並ぶほど魔法の潜在能力が高い、だが彼等は森の奥に暮らしていて、他種族とは滅多に交流してないんじゃなかったか?
「勿論、理由はお話しするとも、魔王軍の七大罪の強欲のザクソン殿」
「……成程、俺の正体を知っているとはな、貴殿はかなり上位のくらいのエルフの様だ、いや、ハイエルフ…ではないのかな?」
ハ、ハイエルフだって!?エルフの上位種、その寿命は永遠に近いとされ、その力は勇者や魔王に次ぐと言われている
「ほう…流石ですな、あぁ失礼まずはあなた方を害する事はありません、我が故郷の神樹に誓おう…それで、まずは姿を偽った理由だが、それは私がハイエルフだから、と言えばザクソン殿や勇者殿なら理解してもらえると思うが」
「あぁ、エルフ狩りだろ?」
エルフ数が少なく男女共に容姿が飛び抜けていい、その為に身勝手な連中が彼等を攫い、奴隷売買などに売り渡されるのだ、エルフ保護を呼びかける国や、エルフ狩りを重罪にする国、そもそもこの世界でも奴隷は禁忌の行いだ、許す国の方が少ない…ただ、帝国には奴隷制度がある…
「勿論、俺もその可能性は考えた、だが態々、人間の国で難民の中にまで紛れてその代表なる意図が気になるな」
確かにエルフ狩りを警戒するなら態々人間の国に来る必要がない、幾ら姿を変えられるといっても、あまりにリスクの高い行動だ
「それは、勇者殿…貴方に会う為です」
「お、俺?どうして」
「…我が里に住むエルフ全てをこの町に受け入れてもらいたい!」
………………はぇ?
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