第14話 神水と対策
「う……うん?あぁ、昨日、騒いでそのまま寝たのか………」
料理を張り切って作って、クレアが持ってきた酒を大量のみんなで飲んだ、頭痛い…
『二日酔いの症状です、マスター』
分かってるよ…他のみんなは?うわぁ…部屋がめちゃくちゃだ…片付けが大変だな
「う…気持ち悪い、み、水…」
フラフラとキッチンの流しからコップに水を入れて飲む、うん、浄水もキチンと出来ている………ん?なんだか………鑑定
神水……高位の神の祝福を受けた土地でのみ湧き出る水、身体損傷回復(特)、身体欠損部位回復(特)、魔力回復効果(特)、状態異常回復(特)
なんやこれ?
おい!なんだよこれは!?神水!?エリクサーより遥かに効果がいいじゃないか!!
あの堕女神なんてものを!これが湧き出てるのか!?浄水いらないじゃん!
『マスター、そんな所ではありません、既に町全体に通水は完了しています、住民全員がこの神水を飲む事になりますね、この町に住むと病や怪我が治ると宣伝しては如何でしょう?』
何言ってんの!?こんなの不味いに決まってるじゃないか!まだまだ発展途上の町だぞ?帝国に目をつけられたら簡単に飲み込まれる!
『そこはマスターが撃退すればいいのでは?勇者と魔王の娘、青龍がいる町を制圧出来る戦力がある国など存在しないでしょう、そもそも、マスター1人で帝国を滅ぼせるではありませんか』
そうだけど!それはその通りなんだけど!俺は無駄な争いはしたくないの!出来れば殺しも嫌だ!それに下手を打てば俺の故郷の皆に飛び火しかねない…
「うぅ〜ん…頭いた〜い」
ん?誰か起きたようだ
「シオン、おはよう…大丈夫か?」
「ダメェ〜気持ち悪…」
そりゃあんだけ飲めばな…クレアとルーセルスは底なしだったが…ザクソンは俺と同じくらい普通くらいだと思うが魔族からしたらまだまだだそうだ、クレアに煽られて潰されていた
「ほら、水だ…………………スッキリするぞ?」
「何よ、今の間は……ンク…………………何これ?え?一気に酔いが覚めたわ!それに、魔力が溢れるくらい漲る、ジン!何飲ませたの!?」
あはは…だよなぁ、神水の事を教えると
「し、信じられない…文献にも3000年前に一度だけ発見された神水が一杯家庭の飲み水?貴方…本当は神の使徒なんじゃないの?」
失礼な、あんな堕女神の使徒だなんてごめん被る
「けど…これは皆には口止めが必要よ、この事が他国、帝国にバレたら必ず接触があるはずよ、すぐにホロに頼んで皆を集めてもらいましょう」
流石、状況の把握と対策が早い
「分かった、ホロに事情を話してくるから他の奴らを起こしておいてくれ、ザクソン達にも意見を貰いたい、神水ぶっかければすぐ起きるだろ」
「いいの?ザクソンもクレアも、今更だけど私も他国の者よ?」
「いいよ、2人は信用してるし、シオンはもう家族みたいなもんだろ、じゃあ、頼んだぞ!」
「ふぇ!か、か、家族!?ちょ!ちょっと!ジン!それもっと詳しく!!ジンーーーー!!!」
何かシオンが叫んでいるけど…まぁいいか、ホロの家に行こう、彼は町の中心に住んでいる、広場を抜けていくのが早いか
走るとすぐに広場が見えた、しかし人だかりが出来ている、気になったので近づいてみると、ホロとシャミの姿があった
「ホロ、シャミ、どうしたんだ?こんな朝早くに…それに、これは?」
「おお、ジン様…いや、実はですな…」
「おはようございます、ジン様、それが…昨日のあの方が…」
あの方?昨日?なんだろう、2人とも随分と気まずそうな、取り敢えず、人混みをかき分けて、人だかりの中心まで進む
「この町は祝福されている!ならば王族たるこの俺がこの町を治めるに相応しい!」
あー昨日シオンにちょっかいを掛けてたバカ王子か…なんでこいつはここにいるんだ?
「ん?き、貴様は!?よくも昨日はこの俺をコケにしてくれたな!だか!あの彼女を引き渡すなら許してやらんごど!!!………」
うん、こういう時は黙らせるのが1番早い…俺ってこんなに手が早かったっけ?まぁ、いいか
「光糸」
聖属性の魔法で光の糸を出して簀巻きにする
「コイツは何処かに閉じ込めとくよ、皆騒がせてすまない、あと話があるからもう少しだけここにいてくれ、あと他に来てない人も呼んできて欲しい、ホロ、シャミ頼む」
「……………あ!は、はい!」
暫く待つと全員集まったようなので神水の事を説明して、口外しないように頼んだ、こればかりは皆を信用するしかないな
その後、バカ王子とその連れは牢屋を作って放り込んでおいた、外交問題?何それ美味しいの?
家に帰ると皆は既に起きていた
「おかえりなさい、どうだった?」
「あぁ,とりあえずは皆了承はしてくれたよ」
「まぁ、こればかりはな…人の口には蓋はできぬと言うし、早急な対策が必要だろう…だが、正直な話、我々では手に余る…無論、協力は惜しまないつもりだが…」
ザクソンの言ってる事はわかる、簡単には解決できるような話でもない、帝国に干渉されても対等な交渉が出来るまでこの町の影響力を高めなければならない、だが町としては生まれたばかりだ、現状はどうしようもない
「ジン君なら、帝国軍くらい撃退出来るんじゃないのぉ?」
クレアが間延びした様に言う
「ダメよ、それでは関係のない人達が巻き込まれる事になる、兵士達も全員が帝国上層部の意見と同じとは限らないし、命令されて仕方なく攻めてくる場合もあるわ」
「最悪、ジンの故郷が人質になりかねん…事は慎重に及ぶべきだ」
「??兵士はともかく、ジン君の故郷なら簡単じゃないのぉ?」
クレアは2人に対して簡単だろ?と言いたがな事を言うと
「村人全員、ここに連れてからば人質なんかにならないじゃない」
「「「あ!!!」」」
そうだよ、なんで思いつかなかったんだ!皆、ここで暮らしてくれればまた一緒に過ごせるし、今まで世話になった恩も返せる!
「でも、待って…移動はどうするの?帝国は勇者であるジンを忘れたわけではないわ、その故郷の人々が移住する事態を放置するとは思えない、これは、難民達にも言える事だけど、移送手段を考えなければ解決しないわ」
「え?転移門をこの村に置いてポータル使えばいいんじゃない?」
「「「あ!!!」」」
「皆、頭が硬いわねぇ〜」
シオンが問題点を挙げたのにすぐに解決案を出すクレアに俺達は驚きっぱなしだ、だが、そのバカにした様な顔はやめろ、腹立つ…
転移門、魔族が独自の技術で開発した、魔化学の一つ、長い寿命と高い魔力適正から、研究を重ねて生み出した魔化学という彼等の技術は人類を遥かに超えたものだ、現代日本に近いと言えるだろう
まぁ、魔力の有無があるので一概には言えないが…
「ザクソン!魔族の移住者に技術者がいるって言ったよな?」
「あぁ、彼女にも転移門の技術はある、この町の門の管理も任せられる、ポータルも俺が用意しよう」
よし!メティス!俺でも転移門は創れるか?
『創る事は可能ですが、マスターはそれに関しての知識が不足しています、技術者の思考を私が読んで、サポートすれば魔王国と同じ物が創造可能です』
おお!流石だな、頼りにしてるぞ、相棒
『お任せを』
こうして、町に転移門を創る計画が始まった
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