第5話 村の再生と全知のメティスさん


「あの…ジン様?どうかしましたか?」


おっと、メティスとの話に夢中になり過ぎたか


「あぁ、ごめん…少し考え事をしていた…少し試したい事があるんだ、皆、まだここに集まっていてくれるか?」


そう頼むと皆は了承してくれた


よし、メティスこの村の全体図を見せてくれ


『了解です、マスター』


おぉ、頭の中に村を上空から写真に撮った様な様子が浮かんできた…まずは…川から水を引いて浄水場に通す、導水管を配置して、その上に家を作って…水道があるなら井戸は要らないな、撤去…元ある家も全て撤去っと…後は…


『マスター、現段階では水道と家の設置までしか実行できません、火、及び照明類は魔鉱石の入手が必要です』


そうだった…なら、ここまでを実行だ

導水管と家の配置は任せたぞ、メティス

あ、家の配置や家の中のインテリアも頼む


『了解、創造スキルの発動を確認、サポートします…』


目の前の家や井戸が姿を消し住民がザワつく、そして次々に家が建っていくのを見て、更に驚いていた、お?魔力がドンドン減っている…けどまだまだいけるな


『マスター、完了しました』


「よし!皆!これが新しい皆の家だ!」


とりあえずは人数も少ないので平屋を数軒建てた


「す、素晴らしい!!なんと立派な!こ、これをワシらに…?」


ホロがプルプル震えながら新築の家を指差す


「あぁ、勿論だ…どの家に住むかは話し合って決めてくれ、ただ魔鉱石がないから火は自分達で起こしてくれよ、あ、火は外でな、中で燃やすと家まで燃えちまうから、あと水道も通した蛇口を撚れば水が出てくるから」


皆、それぞれの家の中に入っていく、中には「こんな素晴らしい家をつかってもいいのですか!?」と泣きながら言ってくる人もいた


『マスター、まだ浄水が完了していません、それと排水管も設置しておきましたのでカルバード領より東の森に生息するスライムを捕獲して、排水場に放てば、彼らが浄化してくれて川に流す事が出来ます』


そうか、排水の事を忘れていた、流石だなメティス、助かるよ…浄水はどうすればいい?


『浄化の魔道具があります、それを浄水場に設置すれば煮沸せずに飲料として扱えます』


なら、魔道具と魔鉱石だな…何処で手に入る?


『材料さえあればマスターの創造スキルで製作可能です、魔鉱石は特殊なのでマスターのスキルレベルではまだ創造は無理です、ですがいずれは魔鉱石も創り出せるようになるでしょう、今は採掘を推奨します、魔鉱石は魔王領に原材料となる鉱石の鉱脈があります、魔道具は魔鉱石があれば製作できるので、まずは魔鉱石の材料を採取する事を提案します、但し、数日間この村を離れることになる為、防衛面に不安が残ります、マスター、塀で村を囲うべきと判断いたします』


ありがとう、メティスがいないとダメになりそうだな


『お褒めに預かり光栄です』


「皆、すまない…水道はまだ使わないでくれ使えるように魔鉱石を採ってくるから待っててくれ、っとその前に………」


メティスの提案通り村を分厚い塀で囲った、門を付けて…完成!


「おぉ!なんと…これで夜魔物に襲われずに済む…ジン様、ありがとうございます!」


「気にするな、これも務めだ…あとは…食糧だな、数日は帰ってこれない、ホロ、なんとか持つか?」


「それが、蓄えは全くなく…今までその日暮らしが手一杯だったもので、申し訳ありません」


「責めているわけじゃない…だが、あまり外には行かせたくないな…」


なぁ、メティス…創造で食べ物は作れるか?


『生命の創造は如何に神のスキルだとしてもマスターでは不可能です、生命の創造は神でも上位の神格が必要となります…動物は勿論、植物も生命の部類に入ります、あくまで創造スキルは無機物を創り出すスキル、家屋で使用した木材は周囲の木を材料として製作しています』


なるほど…なら、食糧をなんとか出来ないか?


『マスター、ここから北に数キロ先に魔物を確認、種族名ジェノサイドボア、危険度S、体長は14.7m、体重は5842kg、この村の住人、21名ならば充分に持ちます、魔石も手に入るので金策にもなります、討伐を提案』


ちょ、ちょっと待て、魔物だと!?ま、魔物を食べるのか!?


『現代では周知されてはいませんが、魔物は食すことの出来る種類があり、基本的にはボア系は殆どが食用として活用できます、300年ほど前までは一般的に家庭で食卓に並ぶ食材でした、今回は危険度Sのジェノサイドボア、当時ですと、その肉は金貨150枚前後で取引されていました、王族や貴族の間で人気を誇っていた様です』


……まさか魔物が食えるなんて、でも皆食べるのかな、そうだ!瘴気は?影響ないのか?


『瘴気はマスターが魔王を鎮静化、及び弱体化させたのでこの世界から根絶されました、魔王城周辺は未だ、濃度が低いですが確認出来ます、カルバード領、及びその周囲に瘴気は確認されていません、それと魔物は体内にある魔石によって瘴気の影響を受けつけないので体内に瘴気が溜まっているという現代の研究者の論文は出鱈目です』


世界的発見を食糧調達のついでに聞いてしまった…気になったんだけどそもそも瘴気ってなんなんだ?


『瘴気とは、魔王から漏れ出た魔力の残滓です、生物にとって毒となる為、植物は枯れ、動物は衰弱して死に至ります、しかし、瘴気は魔力に反応すると消え去ります、魔力を持たない者は神、又は精霊の加護によって防ぐ事が出来、先程申した通り、魔物と同じく魔石を身につけているだけでも防ぐ事ができるのです、但し、魔石の場合は瘴気と相殺され、魔力が消費されるので、魔石の魔力を使い切らない様に注意が必要です』


……ホント、すごいなメティスさん、なんでも知ってるじゃん


『2つの世界の知識、歴史、記憶、心理、摂理全てを女神より授かり誕生しましたから、お望みとあれば、マスターの前世の世界のアトランティスや秘境の地などの真実をお話ししましょうか?』


…遠慮しておきます、知らない方がいい事だってあると思います


『…その通りです』


ヒェ…

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