第24話 スペアリブ つづき
「あ゛ー……」
「うぇへへへ………ほねのね、ほねのまわりがいちばんおいしいの」
「幼女、俺の指はスペアリブじゃねェぞ」
「大将さん、お米のおかわりあったりしない?」
「へい」
賑わいを見せている、座敷。
会議が白熱している訳ではなく、スペアリブが消えていく時間だった。
「ありがと! ……おとなってみにくいね」
「へい」
奴隷少女がしみじみとホカホカごはんを受け取った。
この子もいずれ、幼女魔王のようになるのだろう。
「油には米だね。あたしは間違いないと思うよ」
油ものを米で流し込もうとする奴には酒飲みの才能があるものである。
「ハッ」
ふと顔を上げたのは、日本酒で綺麗なピンク色になっていたクラーケン賢者。
「ボクたち……重要な話をしていた筈では?」
「天空都市攻略の話だろォが」
「むしゃどくろはよわないねぇ」
指の骨をむしられても何も言わない武者髑髏、酔っている気がする。
酔っ払いながらも会議について思い出したクラーケン賢者は、えらい。
「仕事、仕事をしようじゃあないか。そういう事だから」
手がスペアリブの脂でべたついていたので、触手の髪で資料を配る、クラーケン賢者。
「勇者に土産と言って呪詛の籠った牙をだね……」「俺が暴れた後だぜ?、ちぃとは向こうも警戒してるだろォよ」「でもさいだいせんりょくのゆーしゃはこっちだし、もんだいはりっちで……」
再び始まる、仕事の話。
「あのさ」
そこで、奴隷少女が声をあげた。
「あたしの前でそういう事話す? いちおう、天空都市の勇者だよ?」
「「「……あ」」」
とくに理由があった訳ではないと分かる、見事なハモりであった。
「くらーけんちゃ、なんでこいつつれてきたんだっけ?」
「フフ、その……晩御飯用意するのが面倒で……ね?」
「ま、まァそういう日もあらァな」
家庭持ちの武者髑髏によるフォローもむなしく、沈黙に包まれた、座敷。
ぱんぱんっ!
と、幼女魔王が手を叩いた。
「……かいぎしゅーりょー! ほんとにおわり! すきなのたのむこと!」
「わぁーい!」
「フ、フフ……」
「……ったくよォ」
会議はお開きらしい。
「スペアリブおかわり!」
「よくたべるなぁ」
会議を終わらせた奴隷少女には、天空都市を救った功績としてスペアリブの追加が贈られた。よく食べる。
「テメェが食べなさすぎなんだよ、幼女」
「まぞくどっくのおそろしさをしらない わかぞうめが……」
「魔王陛下、瘴気が漏れてないかい?」
「あらいけない」
賑やかな宴会に戻る、幼女魔王一行。
骨をばりばり食べる武者髑髏が一番よく食べているように見えて、骨を量産しているのは米を5回ばかりおかわりした奴隷少女である。
「そもそも、居酒屋で会議しようって言いだした幼女が一番の馬鹿なんじゃねェか?」
「ぅぐ」
「ボクとしても否定しかねる所だね」
「魔王ちゃん大丈夫だよ、スペアリブ美味しいから! ありがとね!」
「ぅぐうぁ」
打撃を喰らい続ける、幼女魔王。
「たいしょー」
「へい」
「あとでおちゃづけちょーらい…………?」
脂とストレスをサラサラと胃に落としたい、幼女魔王であった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます