霜月

ゆきのともしび

霜月



風がつめたくなる


ここにあるのは 空気と 葉のない枝だけ



朽葉のように


ただばらまかれる


寂寥




穴の開いた胃をごまかすかのように


香水の瓶をあける



ラベンダー


フランキンセンス


ベルガモット



瓶からつややかな


かなしみを知らない粒が流れ出る




ああ


穴の底にたまった泥は


どこへいったかな



そこに大事なものは


あったのだろうか




前歯が疼いている


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霜月 ゆきのともしび @yukinokodayo

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