第193話 ピース☆
ロコロッコの街は興奮に湧いていた。
熱を帯びた住人達の話す内容は1つの話題のみだった。
それだけの衝撃だった。
なぜなら、突如として砂海に現れた2体の化け物(憤怒之王ブルーノとスベテヲクラウモノ)の世界の破滅を思わせる戦闘が、突如として終わりを告げたからである。
「戦乙女が降臨した!!」
「黒神様だったんじゃねぇか!!」
「アレは女神様にちげぇねぇ!!」
「ナニアお姉ちゃんだよ~!!」
「馬鹿言ってんじゃないこの子は!ナニアちゃんが飛べる訳ないだろ!!」
「ありゃ天使にちがいねぇ!!」
「人の形をした龍だったんじゃねぇか?」
ワイワイガヤガヤ・・・
「・・・でも、なにかわからないけど・・・奇跡は起きたんだ!!」
シーンと静まり返る
「・・・あぁ!!そうだ!そうに違いねぇ!!あれは奇跡だ!!俺たちは奇跡を目の当たりにしたんだ!!」
「「「「そうだそうだ!!あれは奇跡だ!!」」」」
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憤怒之王ブルーノとスベテヲクラウモノの戦闘は激化し砂海の地形が以前とは比べ物にならぬほど変わり果てて、いよいよロコロッコの街にも被害が出るんじゃないか?むしろ南の国が滅び、世界が崩壊を迎えるんじゃないか?そんな様相を呈した時であった。
眩い光が砂海一面を覆ったのだ。
そして、その光の中心に、空中に人が浮かんでいる。
しかし、眩い光が強すぎてロコロッコの住人たちも憤怒之王ブルーノもスベテヲクラウモノですら、それがなんなのかわからなかった。
「眩しい!!なんだコレは!!人か?人なのか?邪魔だ!!シネ!!」
『ヴガァァァァァァァァァァァァ!!!!』
2体の化け物は、空中に浮く何かに向かって挟撃をはかるかのように攻撃をした。
しかし、その時であった。空中に浮かぶなにかは2体に向け腕をひろげた。
するとより一層あたり一面が光り輝きだし遂には2体は身動きが取れなくなった。
「なっ!どういうことだ!動けん!!」
『?????????ヴァァァァ!!』
2体が訳も分からず藻掻いていると、2体に向けられていた手の形が変わった。
そして、どこまでも透きとおった声が凛と鳴り響くのであった。
『ピース☆』
世界が真っ白に染まった。
誰も何も見えなかった。それは一瞬のことだった。
徐々に世界に色が戻り、完全に戻った頃それは判明した。
今数瞬前まで破滅と絶望をバラまいていた2体の化け物がいない。
姿かたちもなくいない。
唯一その場から見つかったのは気絶した様に眠るナニアだけであった。
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