第187話 木っ端の意地

ズキン!!グワーっと心臓を鷲掴みされたそんな気がした。

そして、唐突に不安感に圧し潰されそうになって俺はベッドから飛び起きた。


「はぁはぁ・・・ナニア!?」

ナニアに何かあったのだろうか?

何か胸にポッカりと空いたような虚無感に襲われた。


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「・・・レイっち・・・ゴファ・・・め・めんご・・・」

バタリと音を立てて1人の人間が倒れた。


「ふん!腹立たしい!口ほどにもない木っ端が私に歯向かうなど実に腹立たしい!!私の腕がこの女の返り血で汚れてしまったではないかっ!!腹立たしい実に腹立たしい!!クソが!木っ端如きに3秒も使ってしまった!!さっさとスベテヲクラウモノに千鬼丸を喰わせねば!!」


スタスタと歩いてスベテヲクラウモノのところにブルーノは向かおうとした。

すると足に何か引っかかる感覚を覚えたので下を見た。


「・・・レ・イッ・・ちど・・・やぐぞ・・く・・・したんだ!死ん・ン・・デモ・・・イガ・ゼナ・・・い・・・」

ブルーノの足にしがみつくのは、先ほど右の貫き手でその身体を貫き葬ったと思われたナニアであった。


「・・・女神の使徒の木っ端風情が!!!死にぞこないが!!私の足に穢れた手で触れるな!!」

そう怒鳴り散らしながらブルーノはしがみつかれていない左足を高く振り上げ、今まさに右足にしがみついている両腕に慈悲もなくそのまま振り降ろし踏み潰した。


!!!と渇いた音が砂海に鳴り響き、その数瞬後に虫の息のナニアから絶叫が漏れた。


「アァァァァァァァァァァ!!!!!!」


「五月蠅い!アバズレが!!そのままスベテヲクラウモノに喰われて死ぬがいい!!」


ブルーノはさらに激昂しナニアの両腕から解き放たれた右足を大きく振りかぶり、そしてナニアの首に振り抜いた!!


!!

ナニアの首から鈍い音が鳴り、ナニアは身体を一瞬硬直させ、その直後に弛緩したように、身体をだらんとさせながら、の様に宙を舞い、そして、スベテヲクラウモノに


「フン。10秒もかかってしまった。しかし、木っ端のお陰で、あの男もろともスベテヲクラウモノに喰わせることが出来た。これでをスベテヲクラウモノに取り込ませることができた。これは重畳だ。」


そう。ブルーノはナニアを蹴り飛ばした際にスベテヲクラウモノと対峙していたスネイルごと吹き飛ばしスベテヲクラウモノに喰わせたのであった。。。


そして、大地が啼いているのかと錯覚をするくらいの振動と咆哮を挙げてスベテヲクラウモノが砂海にのたうち回るのであった。


『ゴヴァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!』

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