第184話 スネイルとアンノー
解呪が上手くいったライオネルはポツリポツリと自分が呪いをかけられたときのことを、それからのことを記憶の糸を手繰りながら話してくれた。
「ある日『会頭!凄い商談です!会わせたい人がいます!』と嬉々として私のところにスネイルがやってきた。だが、今思えばあの時にはスネイルはアイツの術中にハマっていたんだと思う。」
「アイツってのは誰だ?それにその頃から、オマエが言うアイツってやつの術中にハマっていた証拠でもあんのか?」
「アイツとはアンノーと名乗っている薄気味悪い男です。ヤツが『百騎丸』をスネイルに売らせたんです。それと聖女・・・聖者様。おっしゃるようにスネイルが操られていた確たる証拠はございません。だが、しかし、記憶を呼び起こせば呼び起こすほど、あの時の嬉々としたスネイルの顔が思い出されるんですが、笑顔の顔に似つかわしくない程、目が虚ろだった、そんな印象が思い出されるんです。これは私の願望も入っているかもしれない・・・」
「アンノーと名乗る不気味な男。そして、百騎丸か・・・これは間違いなさそうだな。ルノアが魂を冒涜された、神アルマが言っていた邪神樹アンノウンで間違いなさそうだな。まぁそういうこったな。ライオネル。あと一つ教えてくれ。スネイルが右手を失ったのにはアンノーが関係しているか?」
「・・・はい。あれは凄惨な光景で本当は思い出したくもない。だがあの時の記憶は忘れたくても忘れられない!!ザルドル氏が訪ねてきた日の夜のことだ。スネイルが私が寝かされている部屋に来たんだ。そして、私に泣きながら懺悔をした。『会頭!ザルドルにバレてしまった!私の心が弱かったんだ。私が欲に負けたから会頭をこんな姿に、そして、あんなものを・・・なぜあんなものを!アイツと契約を・・・』その時だった。『私となんですって?』その言葉、部屋の片隅から聴こえ、次の瞬間、闇の中からアンノーが現れた。
『ア、ア、ア、アンノー様!!い、いやなんでもないです!!』
『嘘はよくありませんよ嘘は・・・あなたはもっと従順だと思っていたんですけどね、残念です。』
『いや、待ってくれ!死にたくない!ちゃんと百騎丸売りさばくから!どうか殺さないでくれ!!』
『大丈夫です。殺しませんよ。代わりにホラっ!右手もらいましたから♪』
『ウガァァァァァ!!痛いぃぃぃっ!お、おたすけ!おたすけを!!』
『クフフフ。では最後のお願いです。この千鬼丸を持って砂海へ行きスベテヲクラウモノに喰わせなさい。そうすれば全てを許そう。】
そう告げるとヤツはスネイルにゆっくりと樹木の様な腕を向けたんだ。
すると泣き叫んでいたスネイルが泣き止み目が虚ろになったんだ。そうあの時みたいに。そしてスネイルは言った『はうぅぅぅ・・・アンノー様の仰せの通りに・・・』とね。
『クフフフお願いしますよ。ちゃんと自らスベテヲクラウモノに喰われるんですよ。』
『は・・・い・・・アンノー様の仰せの通りに』
『クフフフ。では行きなさい。こちらはあなたからもらい受けた右手で全てを終わらせときますので。』そう言ってヤツは闇の中へ消えていった。俺が知っているのはコレで全部だ。」
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