第180話 共闘

あぁ、やっちまった。最後の最期でミスっちまった。

モンスターが突き破った壁の破片に当たって階段から転げ落ちてしまった。

足をやっちまったようで動けない。

不細工な顔をしたゴブリンオーガが嬉々とした顔で俺たちを殺そうとしてやがる。

あぁ、スローモーションだ。

冒険者とかよく言ってるもんな、死に直面した時はスローモーションになるって。

あれ本当だったんだな。


これまでか・・・


グチャ・・・


血が流れ出る。

おぉ本当に血の海だ。

血って生温かいんだな。


鈍く気持ちが悪い音がした。

生き物が潰される音がした。

まさか、自分が潰される音を聞くなんてな・・・


どんどん血だまりが広がっていくのがわかる。

こりゃ致命傷だ。

痛くてたまらない・・・

痛くて・・・


・・・あれ?痛くないぞ?

そぉ~っと目を開けてみる。

「あれ?し、死んでない?」

「って、うわぁ!この血ってゴブリンオーガの!!」

俺の横に頭を潰されたゴブリンオーガが血をまき散らしながら息絶えていた。


「大丈夫かっ!間に合ってよかった!」

「おいっ!逃げ遅れた人がいるぞ!早く助けろ!」

「魔法使いはモンスターが近づけないように魔法を行使し続けろ!!」

「ヒーラーは回復魔法を!!」

「タンクは壁を作れ!!」


ヒーラーが駆け寄ってくる。

「大丈夫ですか!我々は冒険者です!こちらの商会の秘書を名乗る女性が助けを求めて冒険者ギルドにやってきました!あとは我々が引き受けますので逃げてください!!」

そう言ってヒーラーは怪我をした足を回復してくれた。


俺たちは命からがらライオネル商会の敷地から逃げ出した。


そして、それと入れ替わる様にサンサンプトンの街にいた冒険者たちが、遅れるように城から近衛騎士団が教会から悪魔祓いエクソシストの一団が大挙した。


そこからは圧巻の一言だった。


冒険者と近衛騎士、悪魔祓いが協力してモンスターを蹴散らした。


それぞれの一団から優秀な者たちが飛び出しジョルジョとダンテがいる部屋へ応援にいった。


ジョルジョとダンテがいる会頭室は、モンスターの屍が死屍累々と積み重なり、それを踏み越えるように新たなモンスターが次から次へと溢れ出る。

まさに地獄の様相であった。


「お待たせしました団長!!」

「ケンブリッツ副団長か!遅い!遅すぎる!死ぬかと思った!!」


「ダンテ様お待たせしました!」

「ガナン殿!お待ち申し上げておった!!」


「銀級パーティのシモネディア!我ら助太刀します!!」


「「おぉ!本当に助かる!」」


「「「我々は何をすればよいでしょうか?」」」


「ダンテ殿お願いします!」

「ジョルジョ殿了解した。皆の者、油断せず耳だけ傾けてほしい!これは『生贄召喚』という禁術です。元となる魔法陣、この部屋最奥に浮いている血濡れた手紙を消し去らねば、半永久的にモンスターが溢れ出る!なので、あの血濡れた手紙を我とジョルジョ殿で消し去る!」

「っということなので、僕とダンテさんがあそこまで行けるだけの道を作って欲しい!!」

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