第156話 不浄なるもの

「それでは、私は忙しいのでここで失礼するよ。と言っても会うことはもうないと思いますけどねぇ。」


そう言うと得体の知れない者は消えた。


そして、俺たちの前には『不浄なるもの』と呼ばれる何かが立ち塞がった。


『ヴァァァァ!』


『不浄なるもの』が叫ぶと全身から体液の様なものが四方八方に噴出された!


本能的に俺たちは飛び退きそれを躱した。


その選択が正解だったことは、体液が飛び散った先を見れば明らかだった。


体液に触れた地面や岩肌、隠し部屋に置いてある棺などがブスブスと音を立てて、ただれ朽ちた。


「な、なんという!あれは、あれは『呪詛の塊』とでも言えばよいのでしょうか?私の『祈り』でも対処できそうにありません!」


そうマリサさんが叫ぶと同時に、『不浄なるもの』はまたしても体液を噴出させてきた!


「ミミ!ミミの強酸で相殺できるか?」

『ヤッテミルヨー!』

ビュッ!ビュッ!とミミの強酸が飛ぶが相殺どころか、触れた瞬間に打ち消された!


『父タマ〜チョット無理ソウー』

「ミミでも無理か!」

そう俺たちが困っているのを嘲笑うかのように、『不浄なるもの』はその身体なのかなんなのかわからない塊をズリズリと引きずりながら俺たちの活動出来るスペースを塗りつぶしてくる!?


「あ〜!鬱陶しいなぁ!こんなん、あーしが焼いてやんよ!クリムゾン!『紅』!『紅蜻蛉』!」

そう言いながらナニアが炎を纏わせた爪から紅の炎弾を射出した!


「ダメだナニアッ!」

俺の静止が一歩遅かった!


ナニアの『紅蜻蛉』が、不浄なるものに着弾すると、物凄い勢いで爆発した!

そして、その爆風と一緒に体液を撒き散らした!


「これはヤバい!」

そう思った矢先にマリサさんが叫んだ!

「皆さん私の後ろへ!」


マリサが咄嗟の判断で『祈り』を最大出力で展開した!


『祈り』の結界にギィィンと不協和音を放ちなら、不浄なるものの爆風に乗った体液は相殺されたが、爆風自体は相殺しきれずに俺たちは、ブッ飛ばされダメージを負った。


「いちちちぃ!ごめ〜ん!爆発すると思わなかったぁ!」

「さっき腐乱犬の時に言っただろナニア!ミミ!マリサさん!ルノアさん大丈夫ですか?」

「えぇ~ん!ごめんよぉ〜!」

『ボク大丈夫ダヨ』

「な、なんとか。ですが、私魔力がほとんどなくなってしまいましたわ。」

「うぇ~ん!怖いよぉ!」


とりあえず、すすだらけになってはいるが、誰も致命的なダメージは負っていないようで良かった。

『不浄なるもの』はどうなった?


『不浄なるもの』は今の爆発でダメージをかなり負ったようで身体の様な塊が3分の2ほどになっている。


どうやらナニアの選択は全くの間違いではないようだが、マリサさんの『祈り』がない今、このままいけば全滅するのは俺たちの方だ。


どうしたら、俺たちに勝機がある?

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