第152話 邪神と邪神樹①

「ルノアっち大丈夫?あーしがついてるよ?うわぁぁぁぁ~ん。」そう言ってナニアは優しくルノアを抱きしめ泣き始めた。


「!?・・・ナニアさん。信じてくれるのですか!こんな姿なのにっ!!うわぁぁぁ~ん!!」


そうして、2人が落ち着くまで30分ほど時間が経った。


その30分の間、ナニアとルノアさんの安全を守るようにミミにお願いし、俺は動揺しているマリサさんを連れて少し離れた場所にいた。


ナニアはノア改めルノアの言葉を信じたようだが、マリサさんは事実を受け止めきれずに酷く動揺していた。


「そんな、そんな!肉体から魂を抜き出すなんてっ!あまつさえ、それを入れ替えるなんてっ!!そんなことがあっていいはずが・・・そんなことができるなんて、あるはずが・・・そんなことが出来てしまったら、それはもう神の御業じゃないですかっ!!私は私は・・・」


「マリサさん落ち着いて。本当にそうと決まったわけではない。」


「そ、そうですよね!神が神がそんなことをする訳がないですよねっ!!」


「・・・残念だけど、そうとも言えない。」


「!!!どういうことですかっ!レイ様は我らが神を愚弄するのですかっ!!」


「違う!違うんだ!マリサさん!!聞いてくれ!俺はマリサさん達、教会が信仰している神『アルマ』を貶めているわけでも愚弄しているわけでもないんだ!」


「だったら!だったらなぜそんなことを言うんですかっ!!!」


「だから聞いてくれマリサさん!!頼むから落ち着いてくれっ!あなたは、あなたはもっと冷静だろう!神『アルマ』を信じているなら冷静になって話しを聞いてくれっ!!」


「!!!?っは!す、すみません。私としたことが、あまりにもあまりにも重すぎて受け入れられませんでした。だ、大丈夫です。私には神『アルマ』がついております。」


「大丈夫だね?じゃあ話すね。俺はね今回の首謀者に心当たりがあるんだ。」


「そ、その首謀者がルノアさんをお姿にしたと?」


「端的に言うとそうだね。マリサさんには話しておくね。俺たちの敵がなんなのかを。」


様と、あのクソ教皇オークに言っていた中央国家の敵であり世界の危機というやつですか?それがルノアさんの一件に繋がるんですか?」


「そうです。少なくとも俺はそう考えてます。そして俺たちが今、相手にしている『敵』はマリサさんの言葉を使わせてもらうなら、『神』だ。」


「!?『神』!!あなた方は『アルマ』様を滅しようとしているのですか!!」


「違う!だから、落ち着いて聞いてくれ!『神』と言ったけれど、『神アルマ』ではない。俺たちが闘っているのは『邪神』だ。」


「じゃ、じゃ、『邪神』ですか!?」


「そう。『邪神』です。ただ正確には『邪神』の手先であり、今回のルノアさんのことも、砂海での砂海族たちの暴走のことも中央国家のことも全てを企てている『邪神樹アンノウン』だ!!『邪神樹アンノウン』は世界を混沌と混乱にいざない、そして!!」

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