第141話 サウスベルグ城

サンサンプトンの中央にデデンっと佇む2つの建築。


『城と教会』だ。


城には勿論、『王』がいる。

教会には、『教皇』と『聖女』がいる。


南の国は王政をとっているが、国教として『神アルマ』の教えを信仰する『アルマ教』を採用している。


『アルマ教』の主な教典としては、『汝、悩める時は隣人を頼るべし』『汝、他者が困難に瀕す時、力を貸し共に困難を打ち破るべし』、『汝、他者は常に汝の鏡であると思へ』、『愛には全ての障害・障壁を打ち砕く力がある』、『汝、生涯において共に泣き笑い助け合える友を作るべし』、『汝、独りよがりなことをすれば神罰が下る』等である。


つまり、この世界の神様であるアルマ様は『助け合い』や『独裁の禁止』をあげている。

俺の女神、『運命神カーラ』ことカーラちゃんなら、『好きに生きればいいぢゃん』っとか、言いそうだけれど、アルマ様は優しんだろうな。それに多分だが、この世界の維持のためにもそれが必要だったんだろうな。

元いた世界の様に平和が当たり前の世界なら、『好きに生きればいいぢゃん』は通るかもしれないが、このモンスターが跋扈する世界では

だから、他者と協調・協力することでリスクを減らすことを考えているんだろうな。


だからこそ、世界の各所から人が集まってくるこの南の国は、多様性に順応し発展してきたのだろう。


とかなんとか、考察している間に『城』に着いた。

そして、普通『城』と言えば警備は厳重であるが、流石というかなんというか、「本当にいいのか?」と言いたくなるほど警備らしい警備はなく、普通に誰でも城の中に入れるようになっている。

なんなら入口にデカデカと『ようこそ!サウスベルグ城へ!!』なんて横断幕まで掲げられている。

だからか、市民も多く、賑わっている。


『門番兼受付』と書かれている所に行き、門番に話しかけたらビックリした。


「おはようございます!今日も暑くて良い日ですね!本日はどんなご用件でしょうか?市民の方で陳情でしたら、こちらの名簿にご記入ください。観光の方でしたら左手の入口から城内の観光ができます!3階のテラスから見える海辺の景色は良く、特に夕方の日の入りなんて最高ですよ!」ときたもんだ(汗)


思わず観光に行きそうになるナニアを捕まえて俺は門番に言った。

「すっすみません。観光でも陳情でもないんです。王様と謁見を希望します。こちらは中央都市ダッカーノ王国の王、ナン=ダッカーノ王からの書状になります。」と言って俺は門番に手紙を差し出した。


するとニコニコ笑っていた門番の表情がキリっと変わり「失礼します。」と言って書状の封印を見て真偽を確認した。

真偽を確認し終えた門番は「少々お待ちください。」と言って足早に城内に消えていった。


5分ほどまったところで門番が戻ってきて俺たちにこう告げた。

「大変お待たせいたしました。レイ様。ナニア様。只今より我らが王の元へお連れさせていただきます。」

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