第139話 南の国
ロコロッコの街を出て1週間。
あの暑い暑い砂漠を歩き通した。
そう。砂漠である。
なんと面白いことにロコロッコの街を起点として北側は砂海だが、南側は単純に砂漠になる。
なので、ロコロッコの街は南の国の主要都市と交易が盛んなのである。
反対に北側に位置する中央国家ダッカーノ王国には砂海があるため、物資を大量に持ち込むことが出来ないので交易があまりない。
ということで、俺たちは1週間この何もない砂だらけの砂漠をモンスターを倒しながら大量の物資とともに歩き通した。
なんで大量の物資を持っているかというと、今回の旅は俺とナニア、ミミの3人(正確には2人と1匹)だけではないからだ。
今回の砂漠越えはザルドルさんを含む商会の皆さんも同行しているからだ。
ザルドルさんはロコロッコで使われた『百騎丸』を酷く警戒している。
それは至極当然だ。あれは多分、邪神樹アンノウンが創り出した最悪の代物だから。
その『百騎丸』を売り出している南の国の首都『サンサンプトン』にある最大の商会『ライオネル商会』と話をしに行くらしい。
そのついでに、ナニアとミミが大量に捕獲したモンスターを売りに行くらしい。
さすが商売人だ。タダでは出向かないようだ。
そんなこんなで総勢50人近い集団で、4メートル近い大型のサンドタートルを数匹使い物資をひきながら歩いてきた。
「レイさん、ナニアさん、見てください。あそこが砂漠の終点ですよ!」
「「暑いぃぃぃぃ・・・死ぬぅ・・・え?砂漠終わり?」」
「えぇ。あそこで終わりです。見てみてください面白いと思いますよ?」
「「どういう・・・?え?ええぇぇぇぇぇ!!!」」
「ふふっ凄いでしょう?なんでかわかりませんが、砂漠を一歩抜けると環境が全く違うんです!草木がみずみずしくはえているでしょう?あそこまでいくと急激に体感温度も変わりますよ?ってアレもういないや(笑)」
俺とナニアは走っていた!ドコにそんな力が残ってたんだお前等!!とツッコミがきそうなくらい全力で走った。
だって、砂漠は見渡す限り砂しかないし暑いしもう嫌だったんだ。
砂漠との境界線は不思議なくらいピッチリ別れている。
そして、一歩あちら側へ踏み出すと久々の感触。
土と草の感触だ。
しかもザルドルの言った通り、感じる温度も全然違う!!
こっちは湿度があるから何か気持ちいい!!
あっちはカラカラに暑いだけだった。
草木があるだけでこんなにも変わるのか!
感動だ。
どうやらナニアもミミも同様に思っているようで、ナニアなんかもう草原にダイブして「フオォオォォォ!!!」って叫んじゃってる。
ミミはミミで水分集めて潤って喜んでる!
たしかにカラカラで灼熱の砂漠は相性最悪だったもんな。
水分の塊のスライムであるミミは多分2割くらい小さくなってた気がしたもんな。
何はともあれ、ここからが南の国の首都である『サンサンプトン』の領地とのことだ。
ここからサンサンプトンまでは2日かかるそうだが、この2日で気を引き締めなくてはいけないな。
なにせサンサンプトンで待ってるのは邪神樹アンノウンの手がかかったモノたちだろうから・・・
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