第6章 南の国編
第138話 蠢く影
ところ変わって、南の国のダンジョン
~忘却の王墓地下4階~
「おい!アンリ!こんな所に隠し通路があるぞ!」
「なんだとラムズ!?何度もこのダンジョン潜ってるけど、そんなの初めてだよ!ドーム、地図は?」
「・・・載ってないな。どこか崩れたりしたか、誰かがギミックを起動させて現れたのか?」
「ねぇ。危ないよ。やめようよ・・・」
「ルノアは心配性だな。大丈夫だって!それよりも未開拓ならお宝があるかもしれない。いくぞ!」
「「おう!」」
「やめようよ・・・」
コツコツコツ・・・4人は隠し通路を進んでいく。
「おい。あそこに部屋がありそうだ。お宝が眠ってるかもしれん!」
「シッ!待てラムズ。音がする。モンスターか?それとも他の冒険者か?」
「アンリ。俺が見てくる。」
「ダメだよ、ドーム。」
「大丈夫だ。ルノア。俺たちはサンサンプトンのギルドで若手No1の呼び声高い新進気鋭のウパウロスだぞ?それに俺たちの到達階層は地下6階だ。地下4階のモンスターがいてもなんとかなる。」
そう言ってドームは慎重に隠し部屋に近づいた。
(ん?やはり何かいるな。モンスター?いや、あれは人か?なんだあの異形のモノは!?ヤバイ!これは撤退しなければ!!)
細心の注意を払いドームが振り返ろうとした時、わずかに足元の小石にぶつかってしまった。
(!!!まずい!音が!)
シーン
(・・・危ない!音が鳴らなくて良かった!早く撤退しなければ!)
『おや?空気が微かに震えましたねぇ。ネズミですか。。。』
(マズイ!)「お前ら!逃げろ!早くっ!撤退だっ・・・あヘェ?」
3人はおかしな光景を見た。
ドームが振り返り3人に何かを叫ぼうとした瞬間にドームの顔が無くなったからだ。
そこにあるのはドームの身体だけ。
3人は何が起こったか一瞬だが理解できなかった。
しかし、次の瞬間3人はそこが悪魔の腹の中であることを理解せざるを得なかった。
なぜなら、、、3人の背後から突如としてドームの「お前ら!逃げろ!早くっ!撤退だっ・・・あヘェ?」と言う声がしたから。
振り返るとそこにドームの顔だけが浮いていた。
いち早くアンリが事態の重さに気が付き「キャー」と叫んだが、次の瞬間アンリは顔と両手両足を残しそれ以外の身体が消失していた。
リーダーのラムズは逃げ出そうとしたが、身体が動かない。
次の瞬間『ブチブチ』という音がラムズの耳に入った。
それは、ラムズの身体から内臓が全て飛び出す絶望の音であった。
3人の最期を目の当たりにしたルノアは座り込み絶望し、そして号泣しながら失禁した。
すると、ルノアの耳朶に不穏な声が聞こえた。
『フフフフ。面白い。貴女はそうですねぇ。死よりもツラい地獄を味わってもらいましょうか・・・ちょうどあそこにアレがありましたから、こうするとしましょう。クフフフフ・・・』
ガシッと音を立ててルノアの頭が鷲掴みされ、『メシッメシッ』と頭蓋が軋む音を聴き、ルノアは頭蓋を粉々に砕かれるんだと絶望し更に失禁したところで、不思議な光景を見た。
なんとルノアは自分自身が今まさに異形なナニカに殺される所を目撃したのだ!!
先ほど自身の耳朶に聴こえた音の通りルノアの頭蓋はルノアが見ている目の前でトマトが潰されるように砕かれた!
そして、そのまま地獄の業火のような仄暗い怪しげな業火によって灰も残らぬ勢いで燃やし尽くされた。
その一部始終を見届けた後ルノアは自身の死を悟り意識を手放したのだった。
そうして、この日誰に知られることもなく冒険者パーティ『ウパウロス』が消息を絶った・・・
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