第111話 らぶハリケーン

「ナニア大丈夫か!!」

「うぅ~頭が、ぐわんぐわんするぅ~!お星さまが回ってるぅぅ~☆」


思ったよりもナニアは超音波の影響を受けているようだ。

なんて思っていると壁に激突したヘルガーディアンが這い出てきた。


『グシャァァァァ!!!』


先方さんは先方さんでだいぶお怒りの様だ。


「おろろろ~?あの化け物顔が2つに見える~??」

「ん?ナニアまだ超音波の影響あるのか?いや待て!なんか様子が変だ。」


すると身体を震わせていたヘルガーディアンの身体からもう1つ顔が生えていた!!

それと同時に剣を持った腕が2本はえてきた!!


「うわぁぁ~ニョキニョキ顔と腕が生えてきたぁ~ヤベーキモい!!」

「第二形態ってやつか?それとも守護者がでてきただけか?劣化か?」


そんな俺の願いが通じる訳もなく、ヘルガーディアンは2つの頭からそれぞれ異なった光線を出した!


元からあったガーゴイルの頭からは炎を圧縮したような熱線を。

新しく生えてきた守護者の頭からは先ほどナニアが被弾した超音波を圧縮したような怪光線を放ってきた!!


それと同時に爪と剣の剣舞が見舞われた!


ヤバい!近距離も遠距離も万能なモンスターになってしまった!!

これは迂闊に近づくことすらできそうにない!!


熱線と怪光線をくぐり抜けること数度。

俺たちは攻めあぐねていたが一つの事実に辿り着いた。


現状の俺たち2人のスキルや魔法では遠距離でコイツを倒し切るのは不可能。

であれば、活路となるのは爪撃と剣戟の嵐である死地に飛び込むほかないと。


そこでナニアに聞いた。


「ナニア!さっきナニアが守護者を粉々にした技はあとどれだけ使える?」

「『激おこぷんぷん丸』からの『爆血苦バクチク』のことかな?それなら、あーしの魔力的に今日は後3回はイケるかな?でも、正直威力は落ちちゃうから、さっきの威力でってなら後1~2回イケるかな?って感じぃ~」


「そうか!それなら多少威力は落ちてもいいから後3回は打てるようにしておいて欲しい!それで俺の合図に合わせてアイツに喰らわせて欲しい!できるか?」

「レイっちと息を合わすの?愚問だね!ヨユーっしょ!!」

「じゃあいくぞ!!」


そういうと俺は火中の栗を拾うべく2種の光線をかいくぐり、爪撃&剣戟の嵐に飛び込んだ!!


シュン!シュン!シュシュン!!ザッ!ザザッ!!と風切り音が発生する中、俺は皮一枚のところでよける!!

数十回の斬撃をよけたところで被弾!!


「グフッ!!」

「レイっち!!」


ヘルガーディアンは『獲った』とばかりに数度の斬撃を連続でレイに喰らわせ、レイの膝が崩れ腰が落ちたところで、フィニッシュと言わんばかりに4本の腕を大きく振りかぶった!!


「レイっちぃぃぃぃ!!!」

ズドォォォォン!!!!!!!

次の瞬間、大技がさく裂し大きな衝撃が大広間に反響した!!


その衝撃とともに被弾したモノが中空に!!

それは、大技で決着をつけようと4本の腕を振りかぶったヘルガーディアンであった!!


ヘルガーディアンはレイの策略にまんまとハマっていた!


レイは土と闇の複合魔法である『ダークネスストンスキン』という独自の魔法で即座に自身の目の前に自身と変わらぬ岩で構成され闇魔法でコーティングされた膜を作り上げ、そちらで被弾することで自身はダメージを受けずに、自身が被弾しているかの様に見せ相手を騙すことに成功した。


次にレイは膝を折り腰を落としてちからを両腕に溜め込んだ。

この両腕には『フンドシ煙』が装備されており、土属性の『纏魔』が施されていた!

そしてレイは必殺の『ブチかまし』をヘルガーディアンにかましたのであった!!


中空にカチ上げられ身動きが取れなくなったヘルガーディアンを見たレイはすかさずナニアに叫んだ!!


「ナニアいくぞ!!『怒涛張手』!!」

「レイっち!あ~い了解!!『爆血苦』!!」


ヘルガーディアンも負けじと4本の腕を高速に動かし連撃を放つ!!


「ナニア!もっと手数だせ!イクぞぉぉっぉぉぉぉぉぉ!!!」

「レイっち!イッケぇぇぇぇぇぇぇ!!」


「「連携技法デュアルコンボ乱舞張拳らぶハリケーン』!!うぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!」


レイとナニアの張り手と拳の嵐が爆発を伴うハリケーンとなり、ヘルガーディアンの爪を大剣を徐々に砕き、破砕し、最後にはヘルガーディアンごと粉々に打ち砕くのであった。


「「ふぅ~終わったぁ~」」


レイとナニアの勝利であった。

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