第97話 勇者渇望
つまりは、今ダッカーノ王国だけでなく全世界が危機に瀕していることであった。
そんな危機に便乗というか、たまたまなのであろうが、マープルの索敵魔法がなくなり、六芒星魔術師も五芒星騎士も不在の折に強欲女帝ジュエル=ヨコセッシ一味が城の宝物庫から大量に金品を強奪したのであった。
その報告をロイヤルナイツから受けた面々は思案した。
その中で、この現場に最初からいるマープルは1つの仮説を立てた。
それは、この『邪神の大口』と呼んでいるダンジョンは、邪界に繋がっている可能性が高い。
だが、邪界からすぐに全てのモンスターを吐き出せるわけではない。
どうやら何か仕組みやきっかけがあるようで、現在は一般のこの世界にいるモンスターに加えて、『邪界虫デスマンティー』と仮称だが、『邪界虫デストロイビートル』の2体しか確認できていない。
しかも、その2体も1日に産み出せる限度が決まっている。
『邪界虫デスマンティー』ならば10匹。『邪界虫デストロイビートル』なら4匹である。
そうであれば現状を鑑みるに現在は過剰戦力となっているから五芒星騎士を戻し事態の収拾を図ってから、こちらに戻ってきても問題ないと考え、そして五芒星騎士は事態の収拾を図るべく戻ってきた。
そんなことがあっての今だったと王様から語られた。
そこで次に語られたのは、この事態を収拾させるための急務についてだった。
その急務というのが勇者の育成だった。
『邪神の大口』は厄介なことにダンジョンコアが現状の戦力では壊すことが出来ないことがわかっていた。
解析でわかったことだが、このダンジョンコアは聖属性の攻撃しか通らない。
その聖属性の攻撃を扱えるのは『勇者』のみである。
そんな時にマリアン王女を救った俺たちが現れた。
しかもそこには『勇士』であるピピンがいる。
ここで一気に解決策が浮上した。
そう『勇士』であるピピンを『勇者』にすることである。
『勇者』という職業は魔を討ち払うことが出来る職業だ。
ピピンが『勇者』として完全覚醒すれば、『邪神の大口』を封殺できると考えたのである。
しかし、現状ピピンがすぐに『勇者』に覚醒するなんてことは有り得ない。
通常何年も何十年も経験を積んで覚醒する。
それに勇者ほどの職業であれば覚醒しないことすらある。
だが、『勇者』という職業には1つだけ抜け道がある。
それは極東の国の更に東の海上にある『天地混合』というダンジョン。
別名『勇者の試練』と呼ばれるダンジョンがあり、その最深部にて試練を乗り越えた者は一気に覚醒できるのである。
王様や五芒星騎士はこれを用いてピピンを『勇者』へと覚醒させ『邪神の大口』を制覇しようと考えたのであった。
ただ、『勇者の試練』は一筋縄ではいかない。
であればレベル上げが必要。
現状は五芒星騎士から言わせれば、さほど強くないピピン。
であれば五芒星騎士が鍛え上げ、それと同時に強欲女帝ジュエル=ヨコセッシ一味を捕縛できるくらい強くしてしまえばいいと。
その肩慣らしに『スラムの王カラー=ジョー』も捕らえてしまえばいいと。
そうしたところ、思わぬ副産物があったとのこと。
それが、カラバッジオとナニアと俺だ。
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