第96話 Evil Mouth Crisis
「そうじゃの今のこの国の現状を話そうかの。」
そうして王様から語られた事実はこんな感じであった。
現在、ダッカーノ王国は大変な危機に遭っている。正確には、全世界が危機に遭っているそうだ。
それがこの度、強欲女帝ジュエル=ヨコセッシ一味に後れを取った原因にも繋がるという。
それは、中央国家ダッカーノ王国の西北の小さな孤島で起きた異変。
この孤島は元々ダッカーノ王国領であったため、ダッカーノ王国が管理管轄をしていた。
初めは誰も気が付かないほどの異変であった。
名もなき孤島の小さな洞窟の中にダンジョンが生成された。
この国には凄腕の魔術師が6人いる。
最初に気が付いたのは、この内の1人の魔術師だった。
王宮魔術師
彼女は索敵に秀でた魔術師で、彼女の索敵の範囲はダッカーノ王国全域であった。
そんな彼女が異変に気が付き、先遣隊として魔術師を複数名送った。
すると一瞬でその生命反応が消えた。
彼女は自身の魔術の不調なのか、はたまた違う原因なのか判らずにいた。
そこで彼女は独断で動いた。
彼女自身がその島に直接出向いたのであった。
そこで彼女が見たものは島が見たこともないモンスターに占領されており、その数も日増しに増えている事実だった。
その中には、ナン=ダッカーノ王から聞いていた辺境伯領で大変な被害をもたらした『邪界虫デスマンティー』が大量にいたのであった。
しかも、今まさに島から飛び立とうとしている。
あんなものが飛び立ってしまえば、もし万が一辺境伯領で起こした大爆発を起こせば大変なことになる。
そう思った彼女は自身のありったけの魔力を使用して島全体に即座に封印魔法『
彼女の洗練されたその魔法は功を制した。
今まさに飛び立とうとしたデスマンティーたちは魔法に阻まれ外へ飛び立つことが出来ないでいた。
その間に彼女は他の六芒星魔術師や五芒星騎士に救援の信号を送った。
救援が来るまでの間も彼女の『封獄』は万全に機能していると思えた。
実際に、みたことのないモンスターや邪界虫デスマンティーでは『封獄』を破ることはできなかった。
しかし、異変が起きたのは2日後。新たに1匹の虫型だと思われるモンスターが島の大穴から這い出してきた。
虫というには似合わぬ5メートルはあろうかというその巨躯。体皮はどす黒く光っており、虫型であるにもかかわらず、2足歩行で腕も2本しかなかった。
ではなぜ虫だと思ったかというと。その長大なモンスターの頭にはカブトムシの角が生えていたからである。
そのカブトムシ型のモンスターはおもむろに頭から角をむしり取り両手で持ち構えたのであった。
まるでこれから大槌を振るうかの如くである。
そして、次の瞬間その大槌は振られた。
物凄い音が鳴り響き完璧と思われていた『封獄』に罅が入った!
彼女は慌てて罅の入った箇所に魔力を重点的に流し込み修復した。
しかし、これで『封獄』が壊せると判断したんだろう。
まるで意思を持つかのように大穴はその口から大量に同様のモンスターを吐き出すのであった!!
いよいよ『封獄』が危なくなった時に六芒星魔術師と五芒星騎士が現地に到着したのであった。
彼ら彼女らは封獄の中に入りそれらを圧倒した。
だが、大穴は次から次へと新たなモンスターを出してくる。
しかも、ペースは遅いが少しずつモンスターも強くなっている。
それは『邪神の大口』《Evil Mouth Crisis》と名付けられ、今なおダッカーノ王国が総力をかけ抑え込んでいる。
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