第95話 王の独白

見慣れない天井がある。


そりゃそうだ。王様から下賜されたばかりの屋敷だ見慣れなくて当然だ。


あれから大変だった。


屋敷には部屋が沢山あったのだが、俺は2階一番奥の日当たりの良い部屋にした。


一緒に住むことになったナニアは俺と一緒に寝ようとしてくる。


どうやらナニアはオシミーヌさんに言われた『奥方様』なんて言葉で感情が天元突破したようで、オシミーヌさんとフェリスが城に帰った後、散々と迫ってきた。

いやむしろ襲ってきたよ(汗)


危うく俺も流されそうになったけど、まだ付き合ってもいないんだから、そういうことは・・・ね。


そんなナニアをかわしつつ説得して「今日のところは・・・」と隣の部屋に行ってもらったら夜中だった。


そして、今になって王様に言われたことをじっくり考えた。


あれは昨日、王様から俺たちの褒美とナニアたちの処罰が決まった後だった。


「あとはな褒美とは別だがお主たちに話がある・・・」


そうして王様は少し言いづらそうに俺たちに話を始めた。


「此度は大儀であった。してな、お主たちの望である南の国への通行を許可しようと思う。エヴァンもお主たちの実力ならばと了解してくれた。」


「おお!やったねレイ!これで南の聖女さんを連れてこれれば師匠たちを治せるね!」


「おお!やったなピピン!いよいよ師匠たちを治せる!!」


「それでなんじゃがな、、、ピピンは南の国には行かせられんのだ。いや、正確にはピピンとカラバッジオは南の国へは行かせられないじゃな。」


「「「え?」」」


「どういうことですか!王様!僕がレイと一緒に南の国に行けないってどういうことなんですかっ!」


「そうだ!王様!なんで俺までダメなんだ!納得いかねぇぞ!」


突然の王様の発言に俺たちは動揺した。


「うむ。お主たちが憤るのもわかる。わかるが、それでもだ。」


「どういうことなんですか!僕とカラバッジオが行ってはいけない何か理由でもあるんですか!!」


「左様。お主とカラバッジオには国のために、国民のために働いてもらわねばならぬ。ピピンは未来の『勇者』でカラバッジオは未来の『大臣』なのでな。」


「「!!でも!何も今じゃなくてもいいじゃないですかっ!」」


「いや、今なんじゃ。それでも遅いくらいじゃ。そうじゃの今のこの国の現状を話そうかの。」


そうして語られた事実はこんな感じであった。


現在、ダッカーノ王国は大変な危機に遭っている。正確には、危機に遭っているそうだ。


それがこの度、強欲女帝ジュエル=ヨコセッシ一味に後れを取った原因にも繋がるという。


それは、中央国家ダッカーノ王国の西北の小さな孤島で起きた異変。


この孤島はダッカーノ王国領であったため、ダッカーノ王国が管理管轄をしていた。


初めは誰も気が付かないほどの異変であった。

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