第88話 逆鱗
「喰われている」
そう気が付いてから、他のモンスターを見ても全てのモンスターが一部を喰われている跡がある。
そして、違和感の正体に気が付きヨコセッシが視線を湖に戻した時に本当の原因がわかった。
ヨコセッシが爆発魔法で吹き飛ばした湖の底には、立っている男がいた。
そいつは先ほどボロ雑巾の様にしてモンスターの餌として湖に投げ入れ殺したはずの男であった。
~遡ること少し前 湖に投げ捨てられたレイ~
あぁ俺なんも出来なかった。ピピンもカラバッジオもあんなにボロボロになってまで勝ってくれたのに。ナニアだってヨコセッシを裏切ってまで俺の味方をしてくれたのに・・・
俺の血に誘われて沢山のモンスターが来る。
噛みつかれる。痛い。ドンドン噛みついてくる。
痛い。痛い。痛い!!
さきほどまで意識が朦朧としていたが、痛みによって逆に意識が覚醒した!
違う!俺がこのまま死んでいいわけがない!
俺が死んだらピピンもカラバッジオもナニアまで殺されてしまう!
そんなことがあって良いわけない!!
「うぉぉぉぉ!!!」
俺は体内でありったけの魔力を練った!
そして、ヨコセッシと闘う前にストックしていた能力を発動した。
それはナニアと出逢った場所でもある『ワイルドブル』で食べた『ゴールデンブル』の能力であった。
ゴールデンブルは自身が体内に溜め込んでいる魔力を使用して一度だけ肉体の傷を修復することが出来る。
ただし、ゴールデンブルはこの能力を使用するとすぐに飢餓状態に陥ってしまう。
案の定俺も飢餓状態だ。
だが、今俺の前には、いや、俺の身体には無数の食料が噛みついている!!
俺は手あたり次第、俺に嚙みついているモンスター達を喰らった!
そうして、俺の魔力が続く限り喰らったモンスター達の能力を行した!
最初はウォーターガンを。
続いてウォーターガトリングを!!
その間にも俺を喰らおうとモンスターがどんどん俺を喰いに来る!
逆に俺はそれを喰らい能力を使用する!
そうしてジュエル=ヨコセッシを削る削る!!
~そして今~
ジュエル=ヨコセッシと目が合った。
あいつは驚愕している。
それもそうだろう。
多分、あいつは俺が何をしていたか理解したはずだ。
そして、これから何が起こるか理解したはずだ。
「そんな!バカな!そんな訳があるか!モンスターの魔法を!能力を使うなんてことが出来る訳が!!!まさかっ!キサマ!シーサードラゴンフィッシュの能力まで使えるのか!!」
ジュエル=ヨコセッシが俺に気が付くまで、ずっと魔力を練っていた。
「あぁ!お前を倒すためだ!モンスターにだって何にだってなってやるさ!覚悟しろ!強欲女帝ジュエル=ヨコセッシ!!」
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