第86話 強欲女帝
「威勢だけはいいね。でも、もう終わりだよ。アタシは機嫌が悪い。さっさと終わらせて城にお前たちの生首を送り付けてやるよ!!」
「そんなことはさせない!それにお前の能力は何となくわかった!お前は自分が所有している物を自由に引き出せる能力があるな!」
「へ~そうかい。よく気付いたね。まぁ別に隠してないから気にはしないが、世間に広まっちまったら仕事がやりづらくなるから、アタシの能力に気付いた奴は地の果てまで追いかけて必ず消すようにしてるんだ。どのみちお前は殺すつもりだったがね。」
「能力がわかれば対策だってたてられるさ!」
「どう対策たてるんだい?アタシはこの『強欲』で今まですべて完璧にヤッてきた。それにね、私が引き出せるのは何も武器や道具だけじゃないんだよ!」
そういうとヨコセッシの掌から小型のチェリーの様なものが溢れだした!
あれはピピンが倒したヤツが使ってた爆弾魔法!?
ドン!ドン!!ドッドン!!!と爆発が連鎖する!
慌ててその場から離脱するが、追撃で今度はカラバッジオが闘っていたアマゾネスが使っていた様々な暗器が飛んでくる!
どれも毒が塗られているのか、俺が避けた後ろにあった木は刺さったナイフでたちまち朽ちていた。
そして、どうやら俺は逃げる場所を選ばされていた!!
気が付いた時には遅かった。
致命的だった。
俺がまんまと誘い出されたその場所に足を踏み入れた瞬間に拘束罠が絡みつき、足が一瞬止まった。
そこへナニアが倒したフロッガといアマゾネスが使用していた『猪突猛進』という魔法で岩の槍と化したヨコセッシが俺に突撃をした。
俺は直撃を喰らい、ボロ雑巾様に吹き飛ばされた。
息もできない瀕死だ。
湖のほとりまで吹き飛ばされた俺を嘲笑いながらヨコセッシが近づいてきた。
俺の首を締めあげながらヨコセッシがつまらなそうに言った。
「結局威勢がいいだけのクソガキだったな。瀕死ではないか。もういい。魚の餌にでもなっておれ。お前が湖のモンスターたちに喰われている間に他の仲間は皆殺しにしてやるから安心しろ。」
そうつまらなそうに言い終えたヨコセッシが俺を湖に放り投げた。
あぁ俺なんも出来なかった。ピピンもカラバッジオもあんなにボロボロになってまで勝ってくれたのに。ナニアだってヨコセッシを裏切ってまで俺の味方をしてくれたのに・・・
俺の血の匂いに誘われて様々な水棲モンスターが俺を喰らいに来た。
「さて、たわいもないガキだったね。次はお前らだ。」
ギロリと睨まれ目が合ったのはカラバッジオであった。
「ヤベー殺される。魔力切れで動けねぇ。ピピンは倒れて気絶してるし、あの女は寝てるし俺絶望的じゃねぇか!」
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