第84話 ナニアVSフロッガ
今、俺は珍妙な場面にいる。
俺が『ワイルドブル』で出逢い一緒に食事をした少女ナニアが強欲女帝ジュエル=ヨコセッシの幹部である四弟姫だったことに、とても驚いたのだが、それ以上にジュエル=ヨコセッシに啖呵を切り、同じ四弟姫のフロッガにケンカを売ったことに更に驚いていた。
「フロッガ!ナニアは寝起きだ!アイツの特性を考えれば寝起きは弱い。全力で叩き潰してヤリな!!」
「アイ!ヨコセッシ様!アイヅ昔からウザがった。アヂシが一番強くていい女だのに、皆アイヅばかりもてはやす!ズットウザガッタンダ!!ゴロズ!!」
「うるせぇんだよクソガエルが!!テメェなんかに負ける訳ねぇだろが!」
「アヂシが
「はぁ~ザコガエルがよくしゃべる!ちょっと待ってな!」
そう言うとナニアは俺の方に寄ってきた。
「ねぇレイっち!あーしがあのクソガエルぶっ倒したら、ご褒美頂戴?」
「え?あ、う、うん?」
「あははは!レイっちマヂウケるぅ~♪じゃあ決まりね♪」
そういうと、ナニアは不意打ちで俺にキスをしてきた。
突然のことでビックリしたけど、ナニアとのキスがあまりにも気持ちよく蕩けそうになった。
そんな様子を見ていたフロッガが怒り心頭で突進してきた!
『猪突猛進』とフロッガが唱えるとフロッガの周りに岩が集まり、鋭い槍のような形になり、爆発を伴って一直線に飛んできた!!
これはマズいと思い「む~む~」言いながらナニアに緊急事態を伝えようとするが、ナニアはお構いなしで俺とのキスを続けた。
ナニアがフロッガの手によって突き刺される!と思ったその時、俺の口からナニアが離れ一言声を発した。
『チョベリバ』
すると次の瞬間、フロッガの動きが鈍化し簡単にナニアの片腕でその突きは止められてしまった。
「何が
逆に殴られ吹き飛ばされるフロッガ。
「あーしはキス邪魔されてすんげームカついてんだよ!ご褒美もあるしクソガエルなんて瞬殺してやんよ!!!」
『チョベリグ』『テンション爆上げ⤴』『アゲアゲ⤴』『ブチアゲ⤴⤴』『
ナニアの長髪がまるで重力に逆らうかのように上空に持ち上がった!
「!!フロッガ!さっさとヤっちまいな!」異変に気付いたヨコセッシがフロッガに命令を出す!
「!!バカリマジタ!『
フロッガは岩を全身と2つの棍棒に纏わせた。
フロッガは全てを薙ぎ払い更地にするまで止まらない。
これは『狂化』とよばれる特殊な魔法であった。
『狂化』は目的を達成するか魔力が尽きるまで止まらない。見境いがなくなる諸刃の剣だ。だが、その代わりすべてのステータスが5倍になる。
フロッガはこの能力で四弟姫最強と恐れられてきた。
だが、それはこの時までであった。
ナニアの拳が蹴りがフロッガの岩装甲をいとも簡単に砕き、棍棒も木の枝が如く叩き折り、その勢いのままフロッガを蹂躙した。
ボディ、ストレート、フック、膝蹴りからのアッパーで宙に浮かされた巨体のフロッガはすでに気を失っているにもかかわらず、地面に降りることすら許されず、ナニアの連撃を受け続けていた。
数十秒。その間にナニアは500発もの連撃をフロッガに浴びせた。
ラストは下から上に回転しながら蹴り上げ、さらに上空に浮かされたところに、更に上空に飛んでいたナニアが一回転しフロッガの顔面に回転踵落としをいれた。
フロッガの顔面はおろか全身の骨が折れ動けない状態に、そして何よりも驚いたのが、フロッガから一切魔力や気を感じなくなったことだった。
「っち!役立たずが!あの『大喰らい』に魔力も気も喰われてやがる!当面使いモノにならないじゃないか!あんなドブス戦力にならなかったら、ゴミにすらならないってのに」
そう吐き捨てるようにジュエル=ヨコセッシが言った。
「ふ~!レイっち!終わったよ!ご褒美あとで頂戴ね♪でも、今はあのクソガエルの不味くてブサイクな気と魔力を『
「あ、ああ!ありがとう!」
「何言ってんの!レイっちのためなら、あーし何だってヤっちゃうよ♪あっ!そーだ!もっかいキス!」
『ちゅ!』
とナニアの柔らかい唇が俺の唇に触れた。
「!?あれ?なんか力が湧いてくるような?」
「ふふっ!あーしの気を『ズッ友』で魔力を『
そう言い切るとナニアはさっきまで寝ていた壊れた家に戻りベットに入るとスヤスヤ寝てしまった。
ナニアVSフロッガ
勝者 大喰らいのナニア
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