第83話 カラバッジオVSメーデル
ピピンの戦闘が激化している頃、カラバッジオと四弟姫が1人、拷問姫メーデルとの戦闘もクライマックスを迎えつつあった。
拷問姫メーデルは自身と暗器に風属性を纏わせており、非常に素早く、そして切れ味も抜群の攻撃を死角から何度も何度も仕掛けてくるのであった。
それに対し、カラバッジオは自身に気を纏わせ回避するのだが、暗器の数が多すぎて少し、また少しとダメージを蓄積していっていた。
そんな中、防戦一方のカラバッジオに突如異変が起きた!
カラバッジオは足をもつれさせ、膝をつくと急に血を吐き出した。
なかなか立ち上がることもできない。
「はぁ~やっと効いてきたかい。お前に気が付かれないように、少量の毒でジワジワ追い詰めるのは骨が折れたよ。」
「なっ!毒だと!いつの間に!!」
「ふふっ。いつどこで毒をくらったかわからないなんて、順調に毒が効いているみたいね。そろそろ動けなくなる頃かしらね?」
「な・に・を・言って・・・」
ドサッ!
カラバッジオは返す言葉を全て言い切る前に、その場で倒れ伏してしまった。
「お前はもう聞こえていないだろうけれど、私は暗器使いなんだよ!だから毒を常備しているなんて当たり前だろう?さぁ有言実行といこうか!お前の四肢をもいで犯してやるよ!!」
「がぁぁぁぁぁ!!」激痛がカラバッジオの左腕を襲う。
「いい声でなくじゃないかお前!痛いだろう?アタシのお気に入り暗器の蛇腹刀は!!」
蛇腹の様にクネクネしたその剣は一節ごとに毒刃が付着しており、巻き付けて斬ることも可能であるし、高速で振り抜くとノコギリの様になり、硬い物でも斬り落とせるという代物だ。
そして今、高速で振られた蛇腹刀の効果で、カラバッジオの左腕はいとも簡単に斬り落とされた。
「がぁぁぁぁ!!」
痛みに転げまわるカラバッジオを愉快と言わんばかりに蹴り上げるメーデル。
そのまま、右腕、左足、右足と容赦なく予告した通り斬り落とすのであった。
カラバッジオは瀕死だった。
「まだ意識があるなんてたいしたもんじゃないか!でも、アタシの拷問でもう気がふれてしまいそうだね?お前のその絶望した表情見てるとゾクゾクして濡れちまったよ!そろそろフィナーレといこう!この蛇腹刀をお前に巻き付かせるとどうなると思う?」
「はっ!やめてくれ!やめてくれ!俺の負けだ!命だけは助けてくれ!」
命乞いをしながら逃げ出そうとするカラバッジオ。
だが、逃げ出そうにも肝心の手も足もないからその場から動けないでいた。
「今さら命乞いかい?もう遅いんだよ!!」
そう言うとメーデルは無情にも毒が大量に染み込ませてある蛇腹刀をカラバッジオの全身に巻き付けそして、そのまま勢いよく振り抜き、カラバッジオを切り刻んだ!!
「!!!!!!!!!!!!」
叫び声をだすこともなくカラバッジオは血みどろになり糸が切れた人形のように、その場に倒れた!
「~~~~~~~~~~~~~~!!!!!最高だわ!久々にイッちまった!生意気な童貞が絶望の中で絶命するのは病みつきになるね!!姐さんこっちは終わった・・・」
ドゴン!!
メーデルは自身の顔に途轍もない衝撃を覚え吹き飛ばされた!!
「???な・なんだい?なにが・・・」
不意打ちを受け、ヨロヨロと立ち上がるメーデル。
当たりを見渡すもメーデルの近くには誰もいない。
あるのはカラバッジオの死体だけだ。
だが、誰もいないはずなのに再びメーデルは殴られ吹き飛ばされた!
「なっ!誰だ!」
メーデルがそう叫んでも答えは返ってこないが、その代わりまた1度、また1度という感じでメーデルは何度も何度も不意打ちを受けた。
その状況がしばらく続いた頃、メーデルは心の底から恐怖していた。
自分には見えない何かが確実に自分の命を刈り取りに来ている。
しかも、それはメーデルをいたぶる様に、なぶる様にジワジワと・・・「いつでもお前を殺せるんだぞ」と言われているかのような状況は、まるで拷問されているかの様だった。
狩る側だったメーデルが狩られる側だったと気が付いた時、メーデルのメンタルは崩壊し涙を流しながら漏らした。
そんな時、どこからか声が聞こえた。
「頃合いだな。仕上げといこう」
「色魔法 三龍」
次の瞬間、何もない中空から三匹の龍(『壱之龍 風龍』、『弐之龍 地龍』、『参之龍 水龍』)が現れメーデルに襲い掛かった。
風・土・水の3属性を同時に喰らったメーデルはそのまま失神した。
三龍の余波がおさまると、メーデルの周りの景色が崩れ始めた。
そこから現れたのは魔力切れを起こして座り込むカラバッジオであった!
「ふ~ギリギリだった!上手く『ミラージュ』が決まってくれてよかったぜ。『マリオネット』も巧くいった!」
『ミラージュ』・・・カラバッジオのオリジナル魔法で色魔法で周りの景色をトレースし自身のいる場所を誤認させる魔法
『マリオネット』・・・カラバッジオのオリジナル魔法で、色魔法で作り上げた自身の分身を土魔法で操るという魔法で、まだまだ練度が低いので攻撃したりとかはなかなかできない。だが、動き逃げ回るくらいであれば充分誤認させることができる。
今回のメーデル戦では、途中からミラージュでフィールドを誤認させ、マリオネットと入れ替わり、攻撃させ油断させたところで、三龍で仕留めるという複合技であった。
ただ、これらを同時展開するには大量の魔力を消費するため、カラバッジオは魔力切れを起こしたのであった。
カラバッジオVSメーデル
勝者 カラバッジオ
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