第77話 新たな仲間

そんなこんなで3人で訓練を受けることが多くなり、最初こそギクシャクしていたが、ともに血反吐を文字通り吐き、同じメシを喰らってきたことで、徐々にシコリは消え同年代であったこともあり仲良くなってきた。


そんな時に起きた事件が俺たち3人の仲を更に近づけた。




その大事件とは『』だ。




カラバッジオは俺たちとの訓練以外にもとある仕事をしている。


それは『大臣見習い』だ。


ナン=ダッカーノ王がスラムを開放すると演説した際に、カラバッジオに近くで見ていて欲しいといったことを話しした。


それは当初、カラバッジオも俺たち2人も一般市民として王を監視するくらいのことなのかと思っていた。


しかし、カラバッジオに王から告げられたことは、であった。


王は「いやなに、この国には今、大臣がおらん。儂としてはオヌシにスラムの行く末を見ていて欲しい。であれば、近くで儂の行う政務を見るに越したことはない。それに大臣であればスラムに関わらず、この国の行く末をみることができる。それこそ、この国が間違った方向へ進むのであれば大臣であれば進言できる。一般市民であれば、せいぜい先のオヌシのように徒党を組んで反旗を翻すにとどまるであろう。それも結局は今回こういった形で呆気なく終わりを迎えた。つまりじゃ、オヌシが本気で学び、この国の役に立ちたいと言うのであれば、大臣見習いとして働くことが一番よい。オヌシもそう思わぬか?」そう王はカラバッジオを口説いた。


カラバッジオはそれから、大臣見習い兼、インペリアルナイツ見習いとなり日々この王城で働いている。


結果として、そのことが王が本気でスラムを開放させようとしていると、スラムの住人たちを安心させた。

通常であれば大犯罪と言えなくもないが、それを不問とし、カラバッジオを大臣見習いとして起用したことはスラムの住人たちから大きく支持を得た。


そんなこんなでカラバッジオは今日も今日とて大臣見習いをしており、城をせわしなく動き回っていた。


そんなカラバッジオが城の通路を曲がったところで、ある人物とぶつかった。


通常であればカラバッジオはすぐさま反応し衝突をさけ且つ相手がスムーズに通り抜けられるように相手の進路も確保することは容易であったのだが、この時、カラバッジオは午前の訓練でラゴラゴにボコボコにされていたので、足腰が立たない状態であった。

そして、言い訳になるが考え事もしていた。


『???どうしてこなった?』カラバッジオが心の中で思ったことだ。


なんと、カラバッジオは床に倒れ、その上を女性が覆いかぶさる形になっており、且つ女性はカラバッジオ潰してしまわぬように、左腕は肘で床を右腕は手のひらで床を押さえていた。


見る人が見れば、これは立派な『床ドン』であった。


そして、その状況に慌てふためいた。

2人は同時に動いた。


それが、あんな大事件を起こしてしまうとは、この時2人は思いもしなかった。


見つめ合う二人

「す、すまない!」「すすすすすみませんですわ!!」


一瞬の間を置いて二人は謝りながら同時に動いた。


だが、同時に動いた方向も同じであった。


その結果、再度二人の手がぶつかり合った。


横にどき起き上がろうとするカラバッジオ。

横にどき身体をどけようとする女性。


2人の手が絡まり女性の手が払われる形になり女性はバランスを崩し、カラバッジオも起き上がろうとしていたところだったので、再度バランスを崩した。


そうして、偶然が偶然を呼び2人の唇が重なった。


そう、、、図らずも2人はキスをしてしまった。


見つめ合う2人。口を重ねあう2人。。。


ドキドキドキドキ・・・


っと次の瞬間、我に返ったフランソワが「キャー!!!」と叫び声をあげ同時に右フック!


体勢を崩していた、動揺をしていた、何よりもラゴラゴの手によりダメージが見た目以上にあったカラバッジオは、ドンピシャのタイミングで被弾してしまった右フックに意識を手放すのであった。


フランソワはというと「キャー!!!!」と叫び声をあげ、近寄ってきた人たちにその様子を見られ更にあたふたし「と、と、、、と、と、と、、殿方と~~~~!!!!」と意味不明なことを言いながら、こちらは自らの意思で意識を失った。


倒れ重なるフランソワとカラバッジオ。

城内は騒然とした。


その後2人は事情聴取をされるのだが、2人ともしどろもどろで何を言っているかわからなかったので、最終的にカラバッジオは俺とピピンが、フランソワはマリアン王女が話を聞くことになった。


総合すると先に説明した通りなのだが、双方に続きがあった。


お互いは知らないが、両想いだ。


カラバッジオは独白した。

「いくらボロボロだったとはいえ、あれくらいはさけれたと思ったが、角を曲がったところで、彼女(フランソワ)に気が付き、こんな奇麗な女性がこの世に存在するのかと目が離せなかった。ぶつかってしまい倒れたところで、見とれていた彼女の顔が目の前にあり、動揺してしまい、もつれてしまい気が付いた時には彼女とキスをしていた。あとは記憶がない」


フランソワは激白した。

「いくら姫様のところに急いでいたとはいえ、私も注意はいつもしれおりますの。ですが、角を曲がったところで、あの殿方(カラバッジオ)が現れて、その凛々しいお顔に魅入ってしまいました。そうしたところ、ぶつかり倒れ、凛々しいお顔が益々私の近くに!!私、さらに動揺していまい、もつれてしまい気が付いたら殿方とキ・キ・キスをしておりましたの!そこで我に返り絶叫してしまい思わず右フックを・・・」


このことは双方から事情を聞いた王だけが、知っている。


そして、王は思った。

『2人の若者が恋に落ちるのはおおいに結構だが、これはこれで使えるぞ。と』そう思うや否や王の行動は早く、王は「偶然の事故であった」と周囲には話をしたが、王の目の前で2人を引き合わせ名目上の謝罪を双方からさせ、互いに自己紹介をさせ縁を持たせた。


王はフランソワに言った。「カラバッジオは優秀な男だ。今はまだ未熟だが、いずれ大臣となり儂とマリアンが王になった暁には、その才を遺憾なく発揮してくれるであろう。」


王はカラバッジオに言った。「フランソワは品行方正で容姿端麗。何をやらせても一級の腕での、マリアンが王となるべく側でずっと支えておる。この者のお陰で儂の娘のマリアンはいずれ王となるであろう。」


王は2人に言った。「何の因果かわからぬが、今回のことは事故ぢゃ。だがな、オヌシ達2人が手を取り(儂等を)支えあってくれれば、儂もマリアンもこの国の人々も

安泰であると儂は思う。だから、これからも2人よく励み仕事に従事して欲しい。」


王の思惑はすべて2人にうまく伝わった。

2人はこれまで以上に仕事を頑張るのであった。


そして、カラバッジオのフランソワへの片想い(本当は両想い)の相談を度々受けることで俺たちは本当の意味で友人になれた。


ちなみに、ピピンとカラバッジオは王女と侍従に恋をしている共通点から、ずっとそんな話をしているのは内緒だwww

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