第76話 3人の実力

今日は今日とて俺たちはボコボコにされている。

今日俺たちをボコボコにしてくれたのは、『岩鉄』のマスラーオさん。


マスラーオさんはもう本当に硬い。

俺、ピピン、カラバッジオの3人が全力で攻撃しても本気のマスラーオさんの前には傷1つつかない。


マスラーオさんは俺たち3人を

舐めているからこそ俺たちの攻撃を


マスラーオさんとの訓練では俺たち3人はひたすらに攻撃を繰り返す。

繰り返す。繰り返す。そうして疲れた頃にマスラーオさんからの


マスラーオさんは斧や鉄槌などが本来の武器だが、それを使用すると俺たちが死んでしまうので、使うのは


だが、左拳ので俺たち3人は戦闘不能に陥る。

マスラーオさんの肉体はとにかく硬い。


気や土属性なんかも乗っているってのもあるんだろうが、とにかく硬い。

そんな硬い拳を振り切られると俺たちは反応すらできずに直撃し、だいたい気絶する。


そうして、水をかけられ起こされ、また訓練が開始する。

俺たち3人からすると地獄だ。

だが、マスラーオさん曰く少しずつ俺たちの動きは良くなっているとのこと。

それだけを希望に何度も何度も挑み倒される。


その訓練が終わった後は3人で模擬戦をする。

これまでの戦績は俺VSピピンは10戦5勝5敗。

俺とピピンはお互いを知り過ぎており癖なども把握しているためなかなか決め手に欠ける。毎回どちらかがミスをしたところに一撃が入り勝敗が決するという感じだ。


ピピンVSカラバッジオは10戦7勝3敗。

これは相性が如実に出るようでピピンの勝が多い。

だが、ベリアさん曰く「カラバッジオが色魔法の幅。特に相手へのデバフ効果や意表を突く搦め手をもつ絵を描けるようになったらこの戦績はガラッと変わる」と言った。

そこで、ベリアさんのアドバイスに従って搦め手を使うようになったところ、カラバッジオは立て続けに3勝した。


俺VSカラバッジオは10戦1勝9敗。

それこそ相性が悪いというか地力の差が如実に出ている。

カラバッジオと俺はスタイルが似ていた。

そういった場合、実力がモノを言う。

つまり、そういうことだ。カラバッジオの方が俺より地力がある。

センスが凄いのだ。

結果俺は1勝しかできていない。

そう考えると、この間俺が勝てたのは10分の1の確率で勝利を引いただけだったようだ。

あれは、たまたま俺の纏魔が上手くいったし、カラバッジオの容量オーバーで暴走が起きてカラバッジオが正気を失っていたためだ。

本当にたまたまの勝利だ。


一応、そんな感じだ。

だから、俺は3人の中で一番弱い。


ただ、俺がそれをいうと2人から俺は怒られるから言わないようにしている。

2人曰く俺は『チート野郎』だそうだ。

俺からすれば『勇者』になるだろうピピンも『色魔法』を使えるカラバッジオも十分に『チート野郎』だと思うのだが、2人に負けて落ち込んでいるところにオルファスさんが来て言った。

「お前も2人の『勇士』と『Painter』の様に職業特性を使えばいい。」

俺は一瞬何を言われているか分からなかった。それに対しピピンは「アチャ~」という表情をし、何も知らないカラバッジオは「???」という表情を浮かべていた。

そこでカラバッジオが言った。

「おいレイ!なんかお前もあるなら使えばいい。俺もピピンも自分の職業を活かして戦ってるんだ、お前もあるなら使えばいい。それでも俺はお前に負けないしな!」


この言葉を受けて俺は「用意してくるからちょっと待っててくれ!」と言って訓練場を出ていった。

カラバッジオはまたも「???」となったが、小一時間して戻ってきた俺と闘い愕然としていた。


俺は『大食漢』の職業特性を使った。

王都を出てモンスターを狩り喰らった。

今回喰らったのは『プラントエイプ』というモンスターだ。

『プラントエイプ』はゴリラの形をした植物系統のモンスターで、植物のツタをつかい相手を絡めとり、相手の動きを封じたところで、ゴリラの剛拳を放ってくる。

これが『プラントエイプ』の必殺のパターンである。


これは初見殺しなので、来ることがわかっていれば避けるのは簡単だ。

だ。


俺が何を喰ってきたかピピンもカラバッジオもわからない。

結果として、俺はどちらにも勝った。

なんなら楽勝で勝った。


カラバッジオに関していえば多少は警戒していたが、そもそも俺の『大食漢』を理解していなかった。

結果、俺からプラントエイプの触手のツタが放たれたことに唖然として対処が遅れ、敢え無く御用となり、すかさず気とツタを纏った俺の拳を喰らい気絶した。


ピピンは付き合いが長いので俺が何をしてくるか分かっていたので、プラントエイプだとわかった瞬間に火魔法を剣に纏わせ全力で勝ちにきた。


しかし、それは俺の中でも織り込み済みだったので、火で焼かれないように、ツタには水魔法をタップリと纏わせておいた。


結果、火と水が相殺した。

あとは自力の差となるのだが、ピピンは1馬力なのに対し俺はプラントエイプとの2馬力。加えて俺はプラントエイプの力を引き継いでいるので更に乗ってだいたい3馬力くらいあった。

そうすると結果は明らかで俺が勝つ。

ピピンは俺との読みあいで負けた時点で勝てなかった。


ちなみにこの後2人何度も模擬戦をやったが、その度に違うモンスターを使ったので、カラバッジオは混乱してた。


結果はこんな感じ。

俺VSピピン10戦8勝2敗。

俺VSカラバッジオ10戦10勝0敗

そんな感じなので、2人は俺に『チート野郎』と言ったのだった。

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